とあるところでカメラを持っている私に、まだ声をかけていないのに
「そのカメラで私を撮ろうとしているの? 私はダメですよ。」と言われてしまいました。

機先を制せられて、「・・・・・。撮らせてほしかったのになあ。
京都市の北区、北大路や北山通のその北辺りにはまだいくらかの畑が残っています。
「北区の野菜は柔らかくておいしよ。」とその方が。
なるほど色つやもよく、形もいいのです。何しろ路地で熟した野菜はおいしいものです。
トマトの色なんて「食べて!」と言っているようです。 冷やして丸ごとかぶりつきたいですね。

その方は以前は大原女によく似た姿でリヤカーに採れたての野菜を積んで街中に来ておられたのだそうです。
「今は軽トラで、ほらこんな形(なり)をして・・・。」
軽トラを止めているとリピーターさんが寄ってきますし、おなじみさんへの言伝や預かりものもあります。

「昔な。菅笠をかぶって絣を着ていたら外国人が来てな。こうして写真を撮っていいかいうんや。言葉が分からんやろ。断れへんし、まあ外国で見せるんならいいか思って撮らせてこともありけど、国内はなあ・・・恥ずかしいなあ。」
というわけでついに撮らせていただけませんでした。 また断られ率が上がってしまいました。

また、その場では断らない。
「ええ、いですよ。私も興味がありますし、ぜひお願いします。」
「じゃあ、私のブログを見たうえで、こういうのならいいなあと思われたら、都合のよいい日を私にメールアドレスにお伝えください。」
なんて会話をしても、そのまま音信がないというケースも幾度もあります。
それは女性の嗜みか、はたまた処世の術か、防衛術か・・・・。

私などはすこぶる単純で処世術にも疎く、言葉通りに受け取っては、その都度、不条理に情けないような思いに駆られた時期もありました。
いやならちゃんと断ってくれればいいのにと思うのですが、どうもそれは男の鈍感、男の勝手な思い込み・ジコチュウなんだそうで
「まして君は太平洋側の人間で、そういう言葉の彩を理解する力に欠けるね。まして相手が京女ではね。」なんてからかわれたこともありましたっけ。
ようやく慣れました。
ですからなおのこと撮影にお付き合いいただける人はありがたいわけで、私も力が入ります。
- 2016/07/26(火) 00:00:40|
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