西陣は織物ですが、友禅は染めものです。
友禅染は防染糊を用いて図柄を描いて行きます。絵柄の輪郭を防染糊で描き、内と外を染料で染めて行くわけです。青花(ツユクサ科オオボウシバナ)の汁で下書きされた絵に沿って防染糊を置いて行く作業を「糸目を引く」と言うそうです。青花で描いた線は水で洗えば落ちてしまします。細い口金の先から糊を搾り出し、一定の太さで糊を置いていくわけですが、描いている途中で糊がなくなって線が乱れるとか、太い細いができてしまってはいけません。そうなると色をさした時にはみ出したり、絵の際に切れがなくなってボケたものになってしまったりして、美しい絵になりません。できるだけ一定の太さで糊を引くことが職人さんにとって最も基本的で重要なことです。その上でコントロールした線の変化をつけるのだそうです。単純そうですが、根気と熟練のいる仕事のようです。

口元を見ると「息を止めて描いている」という感じです。しかし、実際には・・ほかのスポーツなどでもそうですが・・・息を吐きながら描いているのです。
言葉にすれば「下絵をなぞっているだけ」ですが、下絵の勢いや表現を殺さないで一定の糊の線で描くということは言うほど簡単ではなさそうだということは容易に想像がつきます。が、おそらくはその想像をはるかに超えて難しんだと思います。

こういう全身が統一された姿というものは美しいものですね。
写真として撮りきれないのが悔しいところです。

布を浮かして描くというのは不安定そうですが、糊の浸透や作業台への付着などのことを考えてのことなのでしょうし、動きがちな布を固定する意味でもこの描き方になるのでしょうね。

この数カ月「人を撮る」ということをしてきましたが、伝統工芸館やここで職人さんたちを撮らしていただいて、人を撮ることの面白さをますます感じるようになりました。
それを感じさせる理由は、何より「素敵な人たち」がいるというこの事実です。
私は若い時ほど人間について楽観的ではなくなりましたし、好意的な感情もずいぶん磨滅してきていました。しかし、この「人を撮る」ことを通じて、また新たな感覚を得るようになってきています。
自分のためにも今後もっともっと「人を撮」りたいと思います。
糊を置いている細木さんたちの姿・表情を見ているとそう思います。
- 2011/09/21(水) 00:05:15|
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きっちり人と向き合い、その人の魅力を写し撮ろうとしておられるsoujyu2さんをカメラで追いかけたら、とてもいい絵が撮れるような気がします。
これからも素敵な出会いを重ねて、素敵な人たちの写真を見せてください。楽しみにしています。
- 2011/09/21(水) 22:55:47 |
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- Shin-Lu #-
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私をカメラで追いかけるですって?! あまりいい趣味ではありませんね(笑い) それにしても私はどんな顔をして撮っているんでしょうね。撮っているときの恰好も奇妙だと思いますよ。
「素敵な人たち」を見つけられる目を養いながら撮っていきたいと思います。そのためには「『書』を捨てて街に出よう」でしょうか。
・・はは、「書」を捨てちゃいけませんね。
- 2011/09/22(木) 09:16:28 |
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- soujyu2 #-
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