「ジム・マーシャル」の写真展を見せていただきました。
作品はビートルズのメンバーの写真でした。
ポール・マッカートニーやリンゴ・スターなどがグループとして演奏している場面もあれば、一人ずつのポートレートもありました。
で、同伴者は「分からんなあ、写真というものの特別な良さが。」と相変わらずです。

会場には真っ先に到着して、「シャンパン、いかがですか。」と勧められるままにいただいて・・・・。
「ジョン?レノンのあの何かを思いつめたような、周囲の何も見ていないような表情をみましたか。ああいう売れっ子が無防備にああした表情を見せる関係があってこそ撮れるものですよね。ジム・マーシャルが目の前にいてカメラを持ってレンズを向けているのに、それを信頼感と親しさがあるからこそ空気のように感じて、一番裸の表情をしているという事がすごいでしょ?!」
「なるほど、そういうことか。話してもらうと分かるような気がするね。撮れること自体がすごいんだという事は。。でも撮れた写真がだから何か作品として感動的かとか、何かを訴えているかというと・・・。」
「う~ん、それなんですよね。ビートルズのメンバーでなくてただの中年男性だったら見る人は強く打たれるかどうか。」

「写真っていいよね。露出がね、光がさあ、一瞬を切り取ってね。」という仲間内の話なら改めて考えることがなさそうな「当然」を検証することはとてもとても大切だと思いました。

並んで椅子にかけて、シャンパン片手に、運ばれたおつまみをいただいて、おしゃれして集まった紳士淑女の中で、ちょっと異空間を作っている男二人。むろん大きな声で話しているわけではないのです。
そこに品の良いご夫婦が近づいてこられて・・・・・なぜか一枚だけかかっている・・・・エリオット・アーウィットの『大人もたまには飛んでみたり』の前に陣取っている我々二人に話しかけてきました。
そして「この写真素敵ですね。」と、奥さま。

すぐ隣に「写真の良さが分からない。」という人物の居ることを知っている私は何と答えたらよいのか。
「このオシャレな写真は・・・・・。」と最低限これくらいまでは言って良いかなという位のお話をさせていただくと、私よりずっとずっと長いキャリアをお持ちで、しかも自らモノクロ現像をしてこられたライカ・オーナーであるご主人が「私は素人で分からないんですが・・・。」をくり返しながらいくつもの質問をされるのです。

「私は素人で分からないんですが・・・。」というお言葉ほど怖いものはないのでして。
そのライカ・オーナーに対して、私はソニーカメラにキャノンレンズをつけてという具合で、それがかえって、私をさして「こちらはプロのカメラマンで。」という隣の御仁の「不当表示」紹介と相まって、一層何かよく分かっている写真家ではないかという思い込みによる質問が続くのです。
私が困っているのを傍らで楽しんでいる御仁を恨みながら「人を撮るときには・・・・。」という方向に誘導しつつお話を・・・。

奥さまを交えて4人の楽しいお話が続きました。
ご主人は京都で有名な洋菓子店のオーナーパテシエだということが事が分かりました。
- 2016/05/26(木) 00:00:04|
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