「京都グラフィエ」がありました。それに関心を持ってその多くの作品をご覧になった方に、「どうでした?いいものがありましたか?」と尋ねられて、「福島菊次郎さんのものがよかった。」と答えたのは適切だったかどうか。「良い」という言葉が適切かどうかという意味ですが、「すごかった。」といった方がいいのかもしれません。「すごい」は「凄い」と書いて「凄かった!」と、いや当たり前なんですけど、強調して。
「他はどうなのかなあ。」と・・・、その方。
「いや、いくつかありましたよ。」と私。

彫刻刀を入れると「ザクっ」「サクッ」と削られていきます。
時には「シューッ」という感じでしょうか。

ベテランの道具は手指の油で独特の光沢を持っていますが、まだまだ修行初めのこの人たちの道具は白木の色や肌触りのままです。
以前私の写真展委も来てくれた方のお持ちだったニコンのフィルカメラ。それは手ズレやバックとのずれなどで塗料が剥げて金属の地肌が角々に出ていました。

使い込んだ道具はその人のこれまでの取り組みの過程を物語ります。
ふと私のカメラを振り返ると・・・、ペンタブなどの角がやはり少しばかり白くなっています。よくこれまで付き合ってくれました。
まだまだこれからもよろしく、といった感じです。
実は、長く放っておいたキャノンの85ミリ 1.2 L が遊ばせておくにはもったいなくて、急に使いたくなったのです。FDレンズですし、ニューF1につけっぱなしだったのです。

でも、こういう写真を撮るときに85ミリがほしい時があって、キャノンボディーにツァイスの85ミリをつけているのですが、これも寂しい思いをさせていたねとソニーのカメラに付けてみたのです。

はたして使いもになるのかどうか、試してみなくてはなりません。
AFは利かない。絞りはカメラ側ですし、オートの露出もできません。
しかし、何しろf1.2ですから、多少周囲がケラレても使ってみるのです。
何しろお金がないのでk-1が出ようとプロ2が出ようと指をくわえているだけですから、今あるもの活かさないと・・・・なんです。

ただ、 「重い!!」 「かさばる!!」
いつまでそれに耐えられるかなあ、なんて思ってやせ我慢路線です。
武士じゃないけど「高楊枝」です。

それでもキャノン5D+ツァイス85ミリにしても・…これは視野率96%という「フラッグシップ」の名に恥じるものでしたし、ファインダーの透過性もお粗末ですが、それでも・・・・アルファ900+キャノン85ミリにしてもファインダーの見え方は、気持ちがいいのです。 明るいレンズはいいなあ、と感じます。それにやはり描写に個性があるな気がします。「気が」ですが。
私には古いレンズの資産はありませんし知識もありませんが、そうしたレンズを新しいカメラに付けて楽しまれている方たちの気持ちが少しわかるように思います。
彫刻刀の輝きや削りだされる木くずの感触を撮りたいと思うと、やはりこちらの道具も気になってしまうのです。

- 2016/05/25(水) 00:00:31|
- 伝統工芸
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