「以前もお見えになりましてよね?!」
建物の入り口受付で、そう声をかけられました。
そうです、もう何度になりますか、ここに来たのは。 一度入場すると、その際に次の無料の入場券をいただけますので、それもあって度々お邪魔をしています。

ここに来れば勉強中の若い、将来の職人たちに会えるからです。
彼らは公開の実演をしているのですが、ウイークデーに実演をしている先輩たちに比べればまだまだ卵です。
しかし、この人たちは一流の講師の指導を受けてめきめき上達して、卒業時には見事な卒業制作作品を作るのです。

そもそもここでの実演を推薦されるという事が彼らの優秀さを示しているのです。
この人は2年生ですから、まだ実質1年の勉強しかありません。
短期のうちにいろいろ身に付けねばなりません。

これまで制作したものが手前に並べられていますが、その一つ毎に上達の様子が見てとれます。
5月の今はちょうど木々が柔らかい青葉をつけて一雨ごとにぐんぐんと枝葉を伸ばしている季節です。それは翌日にはなれば姿が変わっているというほどです。
この人たちはまさにそうした時期を迎えているのですね。
そこが私の年齢とは決定的に違うところでしょう。

そうしてみると5年余り前にこのブログを始めたころの写真を今のそれとどれほど違うかと反省されて、少々・・・・・。
まあ、しかしこの年になっても、たとえ蝸牛のごとき歩みであっても進歩があれば良しとせねばなりません。
あれば・・の話ですが。

籐を細くそいだひも状のもので縁を結っています。
その籐の紐がうらが柄たらい捩じれたりしてはいけないのは勿論ですが、感覚の均一性や張の均一性が求められます。それが乱れれば光にあてるとすぐにその乱れがわかってしまいます。

隣では陶器の絵付け、木彫の人がやはり実演をしています。
良い刺激になるだろうなあと思います。
もし私が、20代か30代で写真に打ち込むようになっていたら、こういう写真は撮らなくなったかもしれません。

湧き上がるように突き上げる「野心」がないという事がこういう撮り方を私に許しているのかもしれないと思います。

- 2016/05/18(水) 00:00:50|
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彼らはまだ若いのですから、技術の巧拙はさまざまです。しかし、それぞれが真摯に技術の向上に努めている姿は、いつも私の気持ちを整えてくれます。
それで、ときどき気持ちを立て直し、また新たな意欲を掻き立てるために、この場に来ます。
- 2016/05/18(水) 20:03:33 |
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