今や日本全国でこの方のところでしか作られていないのだそうです。
神社の神官用の烏帽子、冠の話です。神職は全国で2万名あまりだそうです。
この方は公開の実演は初めてだと言われていました。
今ここでは神職のための冠を作られていますが、烏帽子も作られます。

木型に和紙を張って糊で固めて成形したものに「羅」という漆塗りの布で固めます。

頭の前部分に当たるところに「透額」という穴があけられていて、ネットとが施されていました。
軽量化と熱気がこもらないようにするためだそうです。
髷が収まる「巾子(こじ)」と呼ばれる「し尾」のような形をした部分も紙で作られています。
でも髪性という言葉から想像するよりずっと固くて丈夫そうです。

鏝も変わった形をしていて、角にぴったり合うようになっています。

大切に使えば「50年くらいもつかなあ。」と言われていました。
冠はいろいろ種類があるのですか? などとあまりに無知な質問をしてしまいました。
聖徳太子と結び付けられて説明されることが多い「冠位十二階」とか天武天皇の時の「冠位26階制」を思い出せば、そもそも冠が「位階」を示すものだという事は常識に属することなのでしょうから。

私は神職についても全く知らないのですが、現代の神職にも級があって、冠で表示しているようです。
それにしても普段のご自分の工房でするのとは様々に条件が違いますから、こうして公開実演をしていただくのもご苦労なことだと思います。

でも、私たち一般人からすると、広い意味で「文化財」でもありますから、ぜひこのように公開していただいて学ばせていただきたいものと思います。
- 2016/03/18(金) 00:00:57|
- 伝統工芸
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