例えば「大化(乙巳)のクーデター」
蘇我蝦夷・入鹿節を中心とした政権を後の孝徳や中大兄らが暴力的に倒し権力を握った事件。
入鹿が殺害されたとき父蝦夷は甘樫丘にいた。蝦夷は状況を察するに我に利あらずと自殺したと伝えられる。
書物で読む限り、この時の状況が私にはどうしても解せなかった。
しかし、実際に甘樫丘に立ち、入鹿殺害の現場を眼下に眺めれば、蝦夷の気持ちもかなりの程度納得できる気がした。
殺害現場と甘樫丘の館の距離は、勝どきが轟聞こえる指呼の間だった。
これでは息子の無残な頭部を見て、状況が挽回不能なものだと察することはありえただろうと思われた。
その場に立つ。そのことで歴史的事件の様子を文献では及ばない迫真性で理解できることがあるのではないか。
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いま籠を編むために竹を細く割って、準備しています。とても細い。それをさらに4つに割くのです。
「こんなに細い竹を編むのには男性の太い指では難しいのではないか。多分女性か、あるいは子供によってこうした籠は編まれたのではないかと。」と推測できると説明されました。
籠を編んでいくときに形を保つための写真位あるような道具も見つかったそうです。それでこれをもって現代の提灯職人を訪ねると、「なぜそれを持っているのだ。それは提灯を作るときによく使う道具だ。」と驚かれたそうです。
こんなところに技術の共通性が見え隠れしているのですね。
それも実際に再現してみたからこそ分かったことです。

まさかこういうことを勉強することになるとは思っていませんでしたが、本当にこれに出会って良かったです。
社家の方々にお会いしたり、竹細工の職人や提灯職人の方々の教えを受けたり・・・本当にいろいろな経験ができました。
これからもこれを追究します。

大学の4年間に夢中になって研究できることに出会えて、こうして卒展に意味のある成果を提示できる人はそれほど多くないと思います。
素晴らしいなあと、感心するとともに羨ましくもありました。

「竹を割ったような性格」といえば・・・?
「さっぱりとした性格、邪悪な心や曲がったところがない性格」 という ことなんですが・・・・・?
いえ、竹はスパッとまっすぐには割れないんですよ。縦の筋に癖があってとても素直とは言えないんです。ですから竹細工の職人さんは「竹をわっような性格」=「根性が悪い、ひねくれている」というんです・・・・なんだそうです。
これも実体験をしている人たちだからこそですね。

内実の豊かな4年間でしたね。
- 2016/03/12(土) 00:00:09|
- 工芸
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