「型染友禅」というものがあります。
柿渋紙などをカットして模様を描き、それを型にして布地を染める様式です。
伊勢地方でも盛んでした。
それが最近ではとみに衰退しているのですが・・・・・。

この方は京都市内の方ですが、型染の手法を再度生かして手ぬぐいを染ておられます。
(二代前までは)この方のお家が継いできた仕事が型を切る仕事であったからだといいます。

この人自身はおじいさんの仕事を見て育ち、多少の仕方を教えられたのだそうですが、成長して全く別の仕事に就き、数年前にこの仕事を継ぐ決心をされたてのだという事です。
「うちには古い『型』がたくさん残っていましたからね。これらがみすみすただのごみになってしまうのは忍びなくて・・・。」
「技術はほとんど絶えてしまったようなものだけれど、残されたものを参考にあちこちに教えを求めて今ようやく幾分の目途が立ち始めた。」といいます。

私は今春叙勲された「型」を切る職人の和田さんを知って以来、多少この分野にも関心があって、いろいろお話を伺ったのです。
そして、この人がこれからこの道を行くなら是非とも和田さんの教えを乞うのがいいでしょうとお教えしたのです。

この人はこれまで環境保護の仕事に携わってきた「農学博士」なんだそうです。それがまた大きな進路変更ですが。
「自然の環境を守る。消え去ってしまいそうな文化を守る。何か共通のものを感じて・・・・。」
家業としてあったものがこのまま衰亡していくのを等閑視できなかったのでしょう。

できるなら工房をお尋ねして「切る」ところを撮りたいのですが、といいますと。
「あっ 今ちょうど切りかけているものがありますから、きりましょうか・・、」と。

ただ垂直に刃を入れるのではなくて、微妙に内側に切れ込ませることによって染料を沁みこませてぼかしを生む手法などを教えていただきました。
こういうところが「切り絵」の切方と違うのだろうなあと思いました。
- 2015/12/23(水) 00:00:54|
- 伝統工芸
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