福島さんが「My CADENZA]としたのはどこの集団にも属さずに自分で30年の写真歴を重ねてこられたことを意味しているのでしょう。
その所為か写真の技量はすでに幾度も個展を経験しておられても不思議はないのに今年で4回目かなというものです。80歳になってからの個展です。

やはり世の中には「素敵な人」がおられるものです。
しかし、お話をしている間に幾度も「もう、やめだやめだ。」と言われるのです。
個展の開催ははもちろん外に写真を撮り行くことが身体的につらいとおっしゃるのです。
笑顔でお話しされていた表情が変わります。

「やめだ、やめだ。」と繰り返しておっしゃる背景には高齢で体がつらいということでけではないようです。
確かにカメラ、何本ものレンズ、三脚などなどかなりの重量と容量を担いでの写真撮影は体力も気力も必要です。
フィルムでずっと撮ってこられたのですか?という私の問いへの答えの中に「やめだやめだ。」の理由の一つが潜んでいました。

福島さんはずっとリバーサルフィルムを使ってこられました。一頃は感光特性や色特性の異なるいく種類ものフィルムがいろいろな会社から発売されていましたが、「コダ〇〇」がなくなってもうやる気がなくなったというのです。
モノクロの感光紙も種類が減って「銀の厚みも粗末になって黒の深みがなくなった。」と嘆いておられます。
「デジタルでは表現できないよ。変わる気はない」とおっしゃいます。
もはや自分が培ってきた写真技術や知識を生かす条件が厳しすぎるということでしょう。
- 2011/08/28(日) 00:04:27|
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