西陣織物会館ではお盆のころに10人余りの西陣の職人さんたちが実演をして見せてくれていました。
以前はこれくらいの規模で通年、実演を見せてくれていたのですが、行政が予算を大幅に削ったものですから、普段はほとんど見ることができなくなりました。

会場に足を踏み入れると、これまでにとらせていただいたことがある方が数人おられました。軽く会釈を交わして、これまでお願いしたことがない方のお話を聞きに先に進みます。

伝統工芸士だけでも約1000人もいる京都ですから、まだまだ私がお目にかかっていない職人さんは山ほどおられます。
経歴を伺うと40年とか50年のキャリアをお持ちの方が多くて、中には私と同世代で「私が中では一番若いほうかなあ。」というような声も聞かれます。

職人さんの気質として「意固地」だという事を時折耳にしますし、職人さん自身がご自身やお仲間を評してそのようにおっしゃることがたまにあります。
なるほどある種の堅いこだわりがその仕事にあります。
けれど多くの方が「いいよ、撮っていって。」とシャッターチャンスをくれます。
そして、「あの人なんかもいい仕事をしてるよ。」と教えてくれたりもしますし、時には「ちょっと、・・・。」と席を立って別の職人さんを紹介もしてくれたりもするのです。

この場は公開の実演会場ですから、お願いすれば撮影を許してくれる場合がほとんどなんです。
が、大概は数カットとって移動される方ですので、こんなにしつこく撮られるとは予想されていない場合が多いのです。
ほぼ似たような世代の男が来て、どうやらリタイア後の楽しみで撮ているらしいと察して・・・・「武士は相身互い」かどうか知りませんが・・・・受け入れてくれているという要素も無きにしも非ず…なのでしょう。
ご自身の人生を振り返って・・・というようなお話もよく聞かれます。
40年、500年と仕事を続けられてきて、今なお現役で人から評価される仕事を継続できているというのは、ある意味で羨ましいことですね。
私のような「浮気性」のものにはできないことです。
そういえば私の中学時代の同級生が、中卒である所に就職して、依頼定年までの45年をその仕事一筋にいきて、さらにその後嘱託として5年間仕事を全うし用としているようです。
職人・自営業としてはたまに見られても、給料取りとして50年同じ仕事を勤め上げるというのは並大抵ではないことだと思います。
今度、同級会があったら大いに敬意を表そうと思っています。

私とは180度違うような生き方です。

まあ、そうはいってもそれで私が後悔していると言おうわけでもないのですが。
アリだってキリギリスだって、それぞれに大切な人生を味わって、そして何事かを生み出そうと生きているのですから。
- 2015/08/26(水) 00:00:29|
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