私が子供の頃、近所に「鍛冶屋」があった。
私はよくその鍛冶屋の入り口に立って長い時間おじさんの仕事を見ていた。大人から見れば、よく飽きもせずといった具合だっただろうと思う。
やや薄暗い工場は時に赤々と焼けた鍬や鎌の先に照らし出されていた。
焼けた金属の輝く黒い赤色の魅力にひかれたし、焼きを入れるときに灼熱した金属が水にジュッと突き入れられた時の音や湧き上がる泡の勢いに魅了されていた。
ここは鍛冶屋さんではないけれど、ふとその記憶が戻った。

撮影をお願いすると「これはいつもの仕事じゃないし・・・・。」と少し躊躇されておられたが、
「まあ、いいよ。」とお許しいただいた。
普段は溶接をされているのではないようだ。
「たまたま頼まれてね。」

被覆アーク溶接はシールドガスを必要とするタイプの溶接と違って屋外でできるで、こうして風通しのある屋外でできるのだが、初夏の暑い日差しの下では「暑くて大変ですねぇ。」
「まあ、中でするよりいいけどね。」

この大きな看板の底部に取り付けられていたキャスターが痛んで交換するらしい。
見ると看板大きさに不釣り合いな小さなキャスターだったようで「これじゃもともと無理があったね。だから大きなものに換えるよ。」

溶接のためにいったん高温にして接合すると、金属部材の強度を弱めることになる。
しかも薄い板と厚い板との接合では、暑い板の溶融のための高温は薄い板に穴をあけてしまうことにつながりやすい。
こうしたことを補ったり避けたりするには「腕が必要」だということになる。

もっと寄りたいのですが、ここは路上で、時々自動車も通ります。
しかも危険ですし、作業の邪魔になりますから寄れません。
80ミリ程度ではこれが精一杯でしょうか。 200ミリがあれば。
もっともトリミングすれば同じ効果は得られるんですが。

両手が必要な時には防護面をつけられません。
- 2015/06/07(日) 00:00:30|
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