あまり広くはない2階の部屋は「生徒」さんたちでいっぱいです。
しかも筆や水や絵の具が床に広げられていますから、まさに足の踏み場もないのです。
ですから、私は最初に占めた場所を動くことができません。

露出を変えたり、ほんの数十センチの幅を体を傾けて動いてみたり・・・・。

顔が陰に入っていて足元には外光が当たっています。
しかも着物が明るい黄色ですから、着物が白飛びしてしまいます。
かんざしの藤の色も出したいのですが・・・・・。
最初に生徒さんたちが自分の場所を占めるときの様子を見ていて、面白いなあと思いました。
人それぞれの性格は勿論、何をどのように描きたいかの思いがそれぞれ違うのですよね。 当たり前のことですが。

それにしても人を描くのはやはり難しそうですね。私たちはとても良く人を見ていますからわずかな狂いや不自然さを見逃しません。そこに違和感を感じやすいのです。
描いている人も何だかおかしいなあと思ってもなかなか修正できないようです。
そして「よく見て描く」というのは簡単なことではないようです。既得のイメージで書いてしまうようです。
似顔絵ではないのですから、モデルさんの、その通りの顔を描かなくてもよいのですが、・・。

顔は無論ですが、襟元から胸にかけてのボリュームを描くのもまたとても難しそうです。これが描けないと着物の高級感も、舞妓さんの衣装の雰囲気も出てこないでしょう。そして着彩では絹の光沢を描けている方はほとんどおられませんでした。そうしたことは多分意識にも上っていないように思われました。「黄色い着物」といういうふうに意識されたものを描いてしまっておられます。
写真でも同じですね。自分の撮り方を気づかされます。

私の友人が水彩を得意としていますから、彼の絵を思い出しながらみなさんの絵を遠くから見せていただいています。

ほとんどの方が腰より上、あるいはバストアップの絵を描かれています。ポージングが腰かけてのものですから、そういう先入観になるのかもしれませんし、きれいな舞妓さんということでどうしても顔に意識が引きつけられるのでしょう。
鉛筆を持つ前に「舞妓さんをどう描くか」と少し離れた意識で眺める瞬間がほしいように思いました。
だらりの帯、袖の置き方、裾を分けて下に着ている着物の色を見せている風情、白い足袋なども興味深いですね。

休憩時間にそっと近づいて「後で皆さんが写真を撮らせてもらう時間があるようだけれど、だらりの帯を見せて、少し振り向いたポーズをしてあげてくれますか。」とお願いしました。
「へ~ よろしゅおす。」
私自身は居場所がなくて撮れませんでしたが。
- 2015/06/03(水) 00:03:52|
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