私の古い友人が横浜の洋館で水彩画の個展をした。
私がこのブログを始めた一つのきっかけは彼であったこともあり、その個展を見に行った。
率直に言って彼の絵はうまい。 私もここ数年、街のギャラリーなどで毎週何十枚という絵を見せてもらっているが、水彩画で彼ほどの絵をそれほど多く見ることはない。 それは教室の先生と言われている方たちの絵も含めてだ。
しかしうれしいことに同級生のよしみで絵についても率直な感想を言わせてもらえている。そういう貴重な友人の個展だから、見に行くのも自然な思いなのだが、この時は、それに加えてこの人に会うのも楽しみだった。

以前その旧友に横浜を案内してもらったときに「港の見える丘公園」に近い洋館群を見ました。
とても気に入って、ぜひここで写真展をしたいと思うと同時に、ここで撮りたいと強く思ったのです。
あの人で撮りたい、この人で撮りたいという妄想を膨らめる中に、この人もいたのです。

もう少し歳を重ねた人のほうがいいかなと思う反面、この人のどこまでも素直な性格と、この建物のもつやさしい華麗さがマッチしたらどうなんだろうと・・・・。
この人には演出的なことはほとんど求めません。

建物に入るときには靴を脱ぎスリッパに履き替えなくてはなりません。
この人は私のためにスリッパを出し、脱いだ靴をくつ棚に入れようとします。カメラや鞄のベルトを肩に掛けたまま靴ひもを結ぼうと前かがみになれば、その肩に掛けたベルトが外れてずり落ちないように押さえようとする人です。
彼女からすれば私ははるかに年長者ですから「年長者を大切に」しなさいという親の教えにしたがってもいるのでしょう。
(この人は少々極端かもしれませんが、この人と同じように私の若い友人となってくれている人たちは、多かれ少なかれこうした行動をとります。)

この施設には貴重な家具も置かれています。それらには「手を触れないで」「腰を掛けたりしないで」と書かれたカードが一つ一つにおかれています。
そして中に、そういうカードが置かれていないものがあって腰を下ろせるのです。
しかも、うれしいことに三脚などを使わなければ他のお客さんに迷惑のかからない範囲で…撮影が許されているのです。
撮影をしたい人の良識を信じましょうというスタンスです。
私が横浜を好きになった一因がこういうところにもあります。 関西では・・・・・。

私はこの人(たち)とかかわって、若い知性が育っていく姿を喜びを持って見守る幸せをもらっています。
- 2015/05/29(金) 00:03:08|
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写真家様、被写体様、どちらの人柄も滲み出るような優しい写真でいらっしゃいますね。
洋館も素敵です。
- 2015/05/29(金) 05:24:47 |
- URL |
- 王 建菩華 #mQop/nM.
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洋館の淡いグリーンの色調、窓からの明るい柔らかな光の中で、健康的でさわやかな彼女の特徴が良く感じられます。
- 2015/05/29(金) 07:53:24 |
- URL |
- Hudson Terrace #ZeBYuJyY
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コメントありがとうございます。
フォトマヌカンをしてくれているこの人がとても良い性格の人なので画面にもそれが出るんだろうと思います。
私の大好きな人の一人ですから、そういう気持ちも出るのでしょうか。
そしておっしゃるようにこの建物自体の良さがそれを引き出してくれていると思います。人を撮るときの「舞台」選びも大切だと気付かされます。
- 2015/05/30(土) 10:10:49 |
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- soujyu2 #-
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施設の都合上許されないことでしたが、この情景がとても良かったのでもっと集中して、よく考えて撮りたかったです。見学のついでに撮るようなところではないですね。京都にこうした洋風建築がない、・・・・いえ、あるんですが公開してくれないし、ほとんど必ず有料ですし、何より写真撮影禁止になるのです。文化的に価値のある建築だと指定されていても、だからと言って私たちに見せてはくれないのです。・・・・ので、とてもうらやましいです。
文化って何かと考えてしまいます。
ただ関西では写真愛好家も含めて、見る側のモラルというかエチケットも信頼してもらえるかというと、どうも不安があるのは事実です。が、それにしても・・・・・。
- 2015/05/30(土) 10:17:54 |
- URL |
- soujyu2 #-
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