「記憶の中の風景をソリッドな形にデフォルメし、生活の風景に落とし込むというコンセプトから導かれる色のリズム、調和を楽しんでいただける平面作品の展覧です。」
「ギャラリー知」のオーナーさんの紹介文です。
京都のある芸術系大学大学院に在学中です。

小さな木が群れたり離れたりしながら画面にたくさん描かれています。
その木が円を作ったりとはっきり分かる形に並べられているものもありますが、もし大きな公園の広場に人が散らばったりしたら、あるいはここが歩行者天国の交差点だったら・・・・・人々はこんな風に散らばるんじゃなかろうかという感じに配されています。

樹木ですから、実在のものは、根を生やして立ち並び、そこを動かないわけですが、カンバスに描かれた小さな木々は根が描かれていないためか、あるいは別の要因でか、おそらくは動いていくのではないかという空気を秘めています。

それだけに人間を表象したような木々たちの並び方は、そういう群れの中にある私たちを感じさせます。
形においては特に他と区別するような違いはなくて、わずかに幹の色が異なったり、繁った葉の裏にわずかな色がのぞきます。ですが空中から俯瞰すればそれらの違いは気づかれそうもありません。

個々には指導的な存在も、群れの動きを左右する存在もなさそうです。
群れを集団に形成する気配もありません。
彼女はそういうことの一つ一つを意識して描いているようです。

一見すればかわいい清潔な絵柄で、人を和ませる絵です。
部屋に飾れば穏やかで明るい雰囲気を作ってくれるでしょう。 でもどうやらそれだけの絵ではなさそうです。

話し相手になっている男性との会話が弾んでいますが、謙虚で何かを吸収しようとする彼女の人柄が見えます。
先ほどまで同じ大学の院の後輩が来ていましたが、このギャラリーではこうした若い作家たちとゆっくり話ができて私にとっても格好の栄養補給基地です。

- 2015/05/24(日) 00:04:38|
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