何事によらず人生において二度はないのですから、人との出会いもまた一度だけです。
いえ外見上は同じ人に二度ならず何度も出会うことはあるのですが、文字どおりたった一度の出会いということはまれではありません。
この人とはおそらく私の人生において二度と出会わないでしょう。二度会う蓋然性は限りなくゼロに近いと思います。
ただ、可能性がゼロかといえば、この人が将来学ぶことの分野から言えば、そして私が仮に海外で個展をするという野望をただの酒場の大風呂敷で終わらせないとすれば・・・・・たとえゼロに近いとはいえ何ほどかの可能性はあると思います。
ここが面白いところですね。

はじめてお目にかかったのは弘道館でした。
イレギュラーな派遣で弘道館に来ていたところを偶然お会いしていろいろ話すうちに…何しろ写真展の会場ですから・・・写真の話になり、ちょっと時間をいただくことになりました。
フォトマヌカンは初めてだそうです。

一度には理解できないような曲折を経て、この初秋には渡欧して勉強するのだそうです。
それまでの時間を有効に使おうと関東から京都に来てこの写真展のスタッフをされているわけです。
月ぎめのアパートに住んでいるのだそうです。
こういう積極的な行動は私にはとてもまねのできないものです。

そうした積極性の故でしょう、私のお願いにも応えていただけました。
聞けば関東に知らぬ人のない「お〇様学校」の出身だそうです。趣味の中に水泳などと一緒に乗馬が入っていました。
しかし、こういうことはいいにつけ悪いにつけ先入観で判断してはいけないのであって、今、眼前の人として魅力を見つけることに専念します。
第一、弘道館で出会ったときにそういう情報はないわけですから。

実際、撮影のために改めて出会ったときには、初めの一時間と終わりの一時間とではお互いにずいぶん違った波長でやり取りしていました。

この人の写真もたくさん見ていただきますが、ことに終盤は圧巻です。
だったら、そこだけ見せればいいじゃないかという声も聞こえてきそうですが。
人の出会いの面白さも見ていただこうと・・・・。

この人がこの初秋に渡欧すれば…というより今月半ばに郷里に帰れば…おそらく二度とはお会いできないのですが、それまで何の縁もなかったものが数時間にわたってカメラを仲立ちにしてお話ができるということだけでも、ある意味で驚きです。
それはこの人に限ったことではなくて、前回の台湾からの留学生についても同じことです。
京都観光も兼ねて撮っていますが、この人の京都での生活の記憶の中にほんのわずかでもこの撮影の時間が痕跡として残るでしょうか。
多分それが写真として残されるのですから、私の顔を忘れても、こうした事実だけは記憶に残ってくれるのでしょう。

この人はすでにたくさんの場所を見ているそうですので、観光のメインストリートのちょっとだけ脇道を通りたいと思います。
この建物は京都御苑にあり有名なんですが、金曜日と土曜日だけの公開ですから、案外見ていない方も多いと思います。拾翠亭といいます。元九條家の敷地に残された茶室だそうですが、瀟洒な建物と庭が、規模は小さいけれど楽しめます。

モデルをするんだということで、どんな風に撮るんだろうかといろいろ思いを巡らせていたようですが、私が特になんということもなしに撮るものだからちょっと拍子抜けのようですが・・・・。
やがて、「案外難しいんですねぇ。モデルを甘く見ていました。」のだそうです。
- 2015/05/13(水) 00:03:04|
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