ようやく冬の気配を振り切って春になった。
花冷えになることはあっても、もうあのさすような寒さはないだろう。
私には少し気にかかることがあった。
それはいつも疎水べりで地面に腰を下ろして銅線を編む「銅心」さんのことだ。
少し前に寒風が少し緩んだ日にお会いしていたのだが、必ずしも体調は万全でないと漏らしていた。

早く暖かくなれば、地面におろしている腰も冷たく冷やされなくて済むだろうにと・・・・・・。
それで「さすがにもうひどく冷える日には出てくる気になれないなあ。」とつぶやいておられた銅心さんだが、暖かい春の日差しに包まれるようになれば、きっとまた元気に銅を編んでいるだろうかと・・・・・。
「こんにちは! どうですか体調は?」
「まあまあさ。 ここに来ないと皆が心配するからね。」
「今まで少し暗くて寒そうな日に撮ることが多かったから、今日は明るく気持ちよさそうな画面で撮らせてもらおうと思って・・・・。」
「そう?! いいよ、わしは知らない顔して仕事をするから、自由に好きなだけ撮っていったらいいよ。」

まだ満開までには間がありそうな疎水べりの桜ですが、音を立てて流れる水は輝きを増していて「見るにも聞くにも寒い」という雰囲気はなくなりました。

銅心さんを見かけていろいろな方が声をかけて通ります。
増えてきた人の流れから、時に一人二人と「これいいねえ。」と籠を見て声をかけます。
「わしはね。これはいくらと値段はつけておかんのよ。 これがほしいという人がいたらそこで初めてじゃあいくらいくらにするけれど・・・、とね。 値段見てほしという人じゃなくて、いいものだからほしいという、そういう人に手にしてもらいたいから・・・。 」

銅心さんのところには籠がほしくてではなくて、話し相手がほしくて来られる人も少なくないのです。
同世代の知り合いが来られました。 話が弾みます。 遠慮はありません。
「わしは賭け事をする人は嫌いじゃ。」「じゃあパチンコは賭け事じゃないんかい?!」と掛け合いです。

どうやら過日競馬の予想をしあっていたようです。
「わしは買ってないんよ。 まじめに働いて稼ぐんが一番。」と。
- 2015/04/03(金) 00:01:55|
- モノづくり
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> 京都の 「辻和金網」の 角型水切り の 小さいのを買ったことがあります
なかなか趣味人なんですね。
銅心さんの作品はとても丁寧で丈夫な作りです。やはり作品は人柄ですね。
写真に出てしまう私が ・・・ 怖い・・・
- 2015/04/05(日) 14:56:41 |
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- soujyu2 #-
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