(本文と写真には何の関係もありません。文中に登場する人物および人間関係、組織・団体名は架空のものです。) じゃあ、そろそろ腰を上げようか。
川を挟んで向こう側にちょっとしゃれたイタ飯屋があるんだ。
ぼくの味覚からするとちょっと塩辛い気もするが、まあ一度行ってみてもいいかなとおもうよ。
いいワインも置いてるから。

おいおい何をはじめちゃったんだい?!
そんなものを見つけて。
それかい? それはね整経といって織機に経糸をはる前に糸を決められた長さと本数に整然と並べる仕事があってね、その仕事をされてる職人さんからいただいたんだよ。
なんでもそうして整経した糸の切れ端なんだそうだ。
僕が根掘り葉掘り話を聞かせてもらたときに、あんたが気にいったから上げようって・・・・。

きれいなモノだろ。 生絹だからね。 軽く握ってごらん。 ギシッ というか ギュっというか音がするだろ。 そこが化繊と違うところさ。
えっカセン?! 化学繊維。 こういう言葉最近使わないかなぁ。

光沢もいいだろ。 綾ちゃんは着物は? 成人式には着たの? 今度の卒業式は?
和服を着た写真は持って行ったほうがいいなあ。何かと使えるよ。
僕が撮るの? 卒業式は何時?
そのころは僕はホーチミンだよ。残念ながら。
お父さんが例のドイツ製カメラで撮ってくれるだろ。それにあいつのことだから写真館でも撮れっていうだろ。 そう、やっぱり。 ついでに彼らも二人並んで、いや三人でかな、撮るといいんだ。
えっ、 いやだって?! そんなこと言うもんじゃないよ。 そういう小さなことが親孝行というものだ。
貴ちゃんだってたまには着物を着たいだろ。
いいよいいよ、それも上げるよ。
僕のものを引き継ぐものは誰もいないんだから・・・・。

え?! 何か作ってみたくなったって?
イタリアにもいろいろな工芸品があるから、行ってみているうちにそういうものを生かした何かを作って見たくなるかもしれないね。
元来、イタリアも生糸の織物生産が盛んな土地柄だったんだから。
なんだ、なかなか腰を上げないなあと思ったら、今度は下でごそごそ始めるし。
そういうことか。
まあ、ちょっと時間も早いから軽くね。

よく見つけたね。
一升びんは出したままだからすぐにわかるとして、・・。 ああ、大家のおばさんに聞いたの?! 下に来てたんだ。
ここを借りるようになってもう長いから、おばさんなんでも知ってるし、無ければすぐに持ってきてあげようという人だから、・・ありがたいよ。僕のような身には。
おばさんは、君を見て驚いていなかった?! ここに女性が来ることはまずないから。
で、君は何て答えたの? え~っ あの人はそれを信じるような人じゃないけど・・、 笑ってたろ?!
おばさん、長いこと花街にいた人だから、人を見る目は確かだよ。 君が少し頑張ってお話を作ってもね・・・・。
その酒はね、なかなか切れのあるすっきりとしたいい酒なんだよ。うまみもあってさわやかな香りもしてね。米の精という趣の酒だよ。 ちょっと減っているのはあの大家さんと一寸ね・・・飲んだから・・。
ワイン、ワインていうけれど、日本の清酒も決して捨てたものじゃないからね。いや勝るとも劣らないというのはこういう時にこそ使う言葉さ。
ただね、国税庁が無茶苦茶をして日本酒文化を衰頽堕落させちまったから、・・・、それが地方の蔵元の頑張りで、またようやく息を吹き返しつつあるってところかな。
そういう意味では、ワインにはまだ遠く及ば面は認めざるを得ないけどね。

じゃあ、君の卒業と、写真家への前途を祝福して軽く乾杯しようか。
イタリアへようこその乾杯はまた楽しみにとっておいて、・・。

どんとはらい
- 2015/03/15(日) 00:00:20|
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ぜひ探して飲んでみたいと思います。感想はまたお伝えします。
ちなみに京都のあるお店で静岡県産の地ビールを飲んで、これはいける!とそのビールが飲みたいために人を誘って出かけています。
お蔭で大手のビール酒造会社が販売している缶ビールや瓶ビールに少しも魅力を感じなくなってしまいました。
今度是非ご一緒したいと思います(笑い)
- 2015/03/18(水) 21:48:36 |
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- soujyu2 #-
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