象眼の職人さんです。
「わしは元来はキジシなんやけど、見よう見まねででこういうこともしているんや。」とのことですが、
見よう見まねでこういうことができてしまうなんて、職人の力量って!!

この方の正面のショーウインドウにはご自身の作品が一つ他と区別して陳列されていました。
「京都市蔵」とありましたから市が買い上げたのでしょう。
引き出しがいくつも作り付けられている宝石箱でしょうか。
その精度は驚くべきものですが、さらに鳳凰?などの金象嵌の豪華さと言ったら。
見ただけで精度が分かるのか?とおっしゃられるかと思うのですが、実はこの方の前にはその弟分のような作品があって触れせていただいたのです。
いえ、触らないまでも作品の全体が醸し出している雰囲気が工芸品としての精度の高さを十分に感じさせるのです。
それは組合わせたところやエッジの切れなどを見れば、素人の私にも只モノではないことぐらい感じられます。

「今になっては、もうこういうものを作れるモンはおらんやろなぁ。ワシでおしまいやろな。」と。
工具に興味を示すと、「このピンセットな・・・・。」とピンセットをお好み焼きのへらをカットして、ご自身で作られたことや、細い金槌の柄は、実は廃棄される竹刀の竹を削ったものだと話してくれました(竹刀の竹は十分に乾燥させたものが使われているので、長く使っても、狂いがないのだそうです。)
職人は「道具」ですね。
せっかく撮影をお許しいただいたのですが、熱心なお客さんが何人も周囲を囲み始めましたので、「しばらく時間をおいて撮りに来よう。」と別の方のほうに回ったのですが、
「すまんなア、もうかたずけんならんのや。」という時刻になってしまっていました。

実は以前にここに来た時に、象嵌の職人さんが来るはずだという情報を得ていたのですが、その方は別の方でした。
ですから、そちらのほうに回ったのですが、そこには若い女性の職人さんがおられました。
この方です。

先の方は松脂で固めた土台に鉄の板を張り付けて、そこに金や銀などの箔や線を打ち込んでいくのですが、この方は松脂の土台とともに、25センチ四方で厚さ2センチほどの金属の厚い板の上でたたいておられました。
松脂は熱すれば柔らかくなり、鉄の板が湾曲していても隙間なく支持することになって、打っても力が均等にかかるので使い勝手がよいようです。
- 2015/02/03(火) 00:02:28|
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