京都伝統工芸館では、土日には京都伝統工芸大学校の現役生が「実演」をしてくれるのでそれをみにいきました。
この大学校を出た若い工芸家たちがいろいろなところで活躍する姿を見かけます。
そしてその同窓生も次第にネットワークを作り始めているようです。
この人は木彫です。

課題に取り組んだときの「端切れなんですが、せっかくの良い材なので、捨てるのが惜しくて、勉強のために使っています。」とのこと。
作業台の前には課題で彫ったという作品も並んでいました。

実演を許される人は優秀な成績の人なんだろうと思いますが、ここでの役割もしっかりと自覚して懇切な説明をしてくれます。
道具を見れば、まだ彼らのキャリアが浅いことが分かります。
それだけに、つい「がんばれよ。」の気持ちが湧いてしまいます。

というのも、これまで何度もこのブログでも書いてきたように、どの工芸分野でも若い後継者が出てこないことに焦慮の気持ちが濃厚だからです。
「もはや手遅れだな。」という高齢の名人たちの声も何度となく聞かされてきました。

しかし、その一方でこうした養成機関を初めとして若手が育っている場面もまた、あることはあるのです。
この人は高校時代は普通科に通っていたのですが、実家が「だんじり」の制作を家業としていることから、木彫に興味もったとのこと。
それなら幼いころからさまざまな細工を見てきたでしょうし、織物や金具にも目が肥えていることでしょう。

そしてどの程度のことができないと一人前ではないかということも肌で感じてきていることでしょう。そういうことが一つの財産ですね。

この施設の入場料は比較的安い上に、次回の招待券もいただけます。
(ただ、私はお店のポイントカードや割引券を財布に入れておくのが嫌いで、せっかくのサービスも大半が利用できてないのです。経済観念が乏しいのです。困った性格です。)

先生や卒業生の相当高度な作品が展示されていますから、工芸博物館としても楽しめますよ。
ぜひ一度どうぞ。
- 2014/12/26(金) 00:02:46|
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