「釣り人は、鮒に始まり鮒に終わる」と言うそうですが、中華料理は「チャーハンに始まりチャーハンに終わる。」と。
昼の最も忙しい時の山をようやく越えたころ、交代で昼食休憩に入ります。
先に休憩をとっていた先輩が帰ってくる頃です。
「今日は何にするんや?」 「・・・・・・で。」
賄い飯は自分で作るようです。
・・・・?!?! 自分で作る?! 彼が自分で作るんや!・・・・・これは撮らな。
ガサゴソガサゴソ・・・カメラがリュックからなかなか取り出せません。
ドキュメンタリ・ポートレートとしてはシャッターチャンスも命です。
とにかくシャッターを切らねば・・・。

チャンスはよかった、でも腕が、準備が、設定が・・・・・。 ピントはボールにぴったりと。

「・・・・はどれくらい? 勘ですか?」
「そうや、勘や。 その日によって飯の炊け方が違うやろ。野菜の状態も違う。だから測ったように入れてもだめなんだ。」

「材料は生きてるんやで。」
「いいこと言うなあ。大将!」と常連客が茶々を入れる。
自分の賄いを作るときにそのメニューの作り方を教えてもらえる。
彼は「○○さんの休憩時間、もうすぐ終わりですよね。」と待ちわびていたのは、先輩が時間延長しているのを訴えたわけでもなければ、お腹がすいて食事の時間を待ちわびているというだけのことではない。教えてもらえるその時間がもうすぐ来るからでもあるのだ。

大将はすぐ横に貼りついて教える。 この人は「そんなこともできんのか?!」という見下した空気が少しもないし、分かっていないものに「そなんこともできんのか」という「無理遍にゲンコツ」的なところも微塵もない。
しかし、この瞬間、空気がぴんと張っている。

大将は昔ラグビーをしていたというから、後輩を教えたりする呼吸が分かっているのかもlしれない。

先ほどの常連さんが、私がカメラを取り出して撮り始めると、さっと、メニューや紙ナプキンを取り除いてくれた。
何という親切な心遣いだろう。
この方の親切には、無論私に対するモノがあると思うが、しかし、その一方でこの二人の姿を「撮ってやってくれ」という気持ちがあったと思う。
「こんな風に真剣に聞いてくれる若いもんがいればなあ、・・・・。」とその方の言葉からそれが分かる。
- 2014/11/19(水) 00:00:01|
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「そうや、勘や。 その日によって飯の炊け方が違うやろ。野菜の状態も違う。だから測ったように入れてもだめなんだ。」
その日によって 違うんですか!
プロは いつも同じだと思ってました
後ろからの写真
人は 背中でも語るんですね
「大将は昔ラグビーをしていたと・・・」
だから ガッシリしてるんですね
わたしは コベルコスティーラーズの ファンです なんて
関係ない!
アハハ・・・
- 2014/11/19(水) 21:19:47 |
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- Chieko #-
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勘を鍛えるというのは難しそうですね。でも写真でも同じことかもしれません。黄金比率だとか、「日の丸構図」は避けるだとか、そういうことを知っていてもそれに縛られると写す対象のニュアンスを表現しにくくなります。そこは直感ですね。
そしてその直感、勘をあとで解釈するときに、単なる『後付け』とは違う説明ができるものです。
私もかつて神戸製鋼に注目していたことがありました。平尾氏や大八木氏が活躍していた時代ですね。
応援に誘ってください。
- 2014/11/21(金) 18:28:06 |
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- soujyu2 #-
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