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素敵な人たちと

素敵な人たちと一緒に素敵な写真を撮ります。 なお写真のコピーはご遠慮ください。

素敵な人たちと   

 京都の大北山。
 夏の夜はクーラーが要らないほど涼しく過ごせます。それでいて街なかまで自動車で10数分。
そんなところで着物に絵を描いている方です。

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 この道50年にもなるのでしょうか。
 
 ふとしたきっかけでお知り合いになったのですが、大変「ピュア」な方だというのが第一印象でした。

 先ほどまで帯地にオリジナルの絵を描かれていました。帯のすべての部分に絵を描こうとされています。
 あまり見たことのない帯です。上の写真はその帯の、まだ絵が描かれていない部分を広げておいでの姿です。
 話の流れの中で、「和紙をちぎったものに染料をつけて絵を描く方法を見せましょう。」とわざわざ白生地を取り出して描いて見せいただけました。
 今、染料を合わせて色作りをしているのですが、すでにこの時に絵ができているのです。

 それにしても色を作るこの時の表情をご覧ください。
 まるで子供が大好きなおもちゃを取り出した時のようなわくわくしたお顔をされているでしょ?!

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 和紙は紅葉(もみじ)の葉の形やヒョウタンの葉の形にあらかじめちぎってあります。和紙をちぎるのですからエッジは鋭くありません。繊維がはみ出してもいます。
 この紙に染料をしみ込ませ、こうしてフィルムにはります。

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 それを生地に押し付けて染料を転写するというわけです。
 染料と水の加減、隣り合った染料同士、押しつける力加減・・・などなどによって微妙な色の混じりあいやグラデエーションが出てきます。

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 体験教室のようなところで生徒さんにも教えておられるのだとか。
 
 実はこの絵を描いたものを私にやろうといってくださって描いておられるので、実に力の抜けた楽しそうな雰囲気を醸し出しています。
 奥さんが「せっかく描くのだからへちまも書いて差し上げたら・・・?」といって下さったので、「お試し」が一枚の作品になることになりました。

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 それにしてもこんな楽しそうな顔をされる方は初めてではないでしょうか。
 私の写真を撮る姿はどうでしょうか。何かしかめっ面をして「芸術だぞ!」なんて力んでいるのではないでしょうか。
 
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 京都の職人さんは実にこまごまとした分業の中に組み込まれて生きてきました。
 それは部分部分の技術を高度化する上では大いに役だったかもしれません。
 しかし、一面では作品の中に署名されない古いタイプの職人仕事であったわけです。
 指示されたことをいかに高度に実現するかということはあっても、トータルの創造性ということには弱さがあります。
 おそらくそれでは今日を生きられないと思います。

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 この方は様々な技法を探求されてきましたから「分業の固定化」の頚木がありません。
 マルクスが中世的な職人の生産様式(芝田進午氏的には労働様式)が解体されて、資本主義的な分業に基づく協業の歴史的な存在意義を解明していることはつとに知られたことですが、職人の世界は未だにその中世を引きずっているともいえます。

 その点でいえばこの方は創造のための職人技を蓄えてきておられるともいえるように感じました。

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 今日は個展第一日目です。
 このところ定時出勤という生活をしていませんから、きちんと開場時刻に間に合う行動ができるか心配です。

 前回はギャラリーのオーナーさんとそこのスタッフに「おんぶにだっこ」状態で頼りきりでしたから、今回はその時と違った緊張感があります。

 この2回目の個展を多少強引に計画してみて、やはりいろいろそれまでと違った経験をしました。
 前回は「身の丈に合わないことをしている」感が強く、お知らせをするのにも腰が引けた状態でした。それが今回は多少ずうずうしくなりました。 勿論だからと言って「身の丈に合わない」感がなくなったというわけではなくて、それに縛られずに頑張ってみようという気持ちがいくらか大きくなったということです。

 今回、案内の葉書を郵送したり、ギャラリーに置かせてもらう以外の、直接に渡した方が前回より増えました。
 と言っても大した数ではありません。が、「是非行きます。」と言っていただいて「果たして忙しい中を来ていただくほどのことをしているのか。」という気持ちと「せっかく来ていただくのだから期待にたがわないようにしたい。」という気持ちとが膨らみました。

 こういう経験は「やってみなければ」体験できないわけですから、前向きに考えていきたいと思っています。

 どんどん新しい経験をしていきたいと思います。新しい出会いを作っていきたいと思います。

 昨日、搬入した時には予定より展示作品を減らした所為もあって少し閑散とした感じです。
 でも今日から見に来てくれる人がその間を歩いてくれれば、きっと写真たちがおしゃべりを始めると思います。

 どんな話をしてくれるでしょうか、楽しみです。

 
 
  1. 2014/11/04(火) 00:04:45|
  2. 工芸
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  4. | コメント:2
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  1. 2014/11/05(水) 09:45:19 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

コメントありがとうございます

 個展会場でも語り合っているのですが、職人さんたちの姿の魅力は人を感動させますね。それをよりよく写し取れるとよいのですが。

 またおいで下さい。
  1. 2014/11/05(水) 22:05:37 |
  2. URL |
  3. soujyu2 #-
  4. [ 編集 ]

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Author:soujyu2
 人はいろいろな場所で様々な思いを抱いて頑張っています。そんな人々の素敵な表情を追いかけてみようと思います。
 「素敵な人たちと」の出会いが私をワクワクさせます。

People hold various thoughts and are doing their best at various places.
I think that I will pursue such people's great expression.
Encounter of "nice people"
excites me.


 大変恐縮ですが、無理をお願いして撮らせていただいている写真です。ご本人のためにも無断でのコピー、転載は固くお断りします。

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