「この甘さは、どこから?」
「酢ですね。酢を熱すると甘みが出るんですよ。私ら中華の世界では、酢をちゃんと使えるかどうかは大きいです。」

「私らが修業のころは玉杓子や中華鍋が飛んできたり、いきなり尻をけ飛ばされたりした。」そうです。
「味も、調味料をいつどれくらい入れるかなんて、全然教えてもらえなかった。」んだそうです。
「私らの先輩はもっとひどかったんじゃないですか、扱われ方が。」

先日、楽天の星野監督がやめるというニュースを聞いて、また持ち上げ記事を読まされるなあとあまり愉快ではありませんでした。
チームの成績不振や選手のミスに対して椅子をけ飛ばしたり暴言を吐いたり選手を罵倒、時には鉄拳を振るうなどおよそスポーツの指導者にふさわしくないし社会人としても大問題の人物ですが、マスコミは変に彼を美化します。
大学などの体育会系サークルに依然としてはびこっている暴力体質、人権無視の体質の象徴のような人物が星野氏だと私は思ってきました。
根性だ、やる気だ、闘争心だと、それらは全部選手に「欠けているから負けるんだ」というものです。
監督にそれらが備わっていることを見せるためには審判に罵詈雑言で抗議したり、乱闘を助長したりするのです。監督自身の選手育成やコーチとの意思疎通に問題があり指導・助言が適切でないから若い選手が「できない、しない」のでその逆ではないという自覚、認識をお持ちでない人のように人に私には見えます。

おれがこう育てられたから、育ったからこうする、というのは指導者としては、賢明な考え方だと私は思えません。
指導・援助と、被指導・被援助を客観的に意識化していないからです。
私がこんなことを書いているのは調理人の世界にありがちな、徒弟奉公時代からの悪習に対してこの人が、ちょっと違う行き方をしているように見えたからです。
この時も、背中で「ちゃんと教えた通り包丁が使えてるか?」と見ているし、問いかけているのです。

若い衆は、また彼は彼で、包丁をできるだけ速く使おうと懸命です。
率直にいえば、速くしようとして力が入りすぎていると感じられます。でも、それはそれで仕方がないことで「包丁を一人前に使いこなしたい。」と思う彼の意欲の結果ですから。そう思わなければ力も入り(すぎるほど入り)ません。
「怪我をさせて休まれたんでは元も子もないからねえ。」と笑いながら、包丁の中ほどを使う意識で切るんだぞと、繰り返します。
私は、わきの締め方、手首の硬さ・柔らかさなど・・・、スポーツにも通じるなあなどと感心しながら・・・・。

私は、この店に行って、この若い衆がひつと一つ助言を受けながら「はいっ! はいっ!」と
「こいつは返事はいいんだけど。」などとからかわれながら、それでも持ち前の愛嬌のある笑顔で頑張っているのを見るのが楽しみなのです。


このお店に行くと、ついついカメラを出してしまいます。
- 2014/09/23(火) 00:02:25|
- 料理
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『背中で「ちゃんと教えた通り包丁が使えてるか?」と見ている』
それが見える さすが soujyu2 さん
コトバは 写真より 奥が深い・・・
- 2014/09/23(火) 21:25:48 |
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- Chieko #-
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Chiekoさんは褒め殺しタイプですか?
その場にいると、確かに背なかで見ている感じがしますね。
自分のしている調理の最中でも、音や臭いや気配で「見ている」んだと思います。
ことに気配が大事じゃないでしょうか。
写真でも同じことがいえそうです。目で見て撮っていたのでは遅れるからです。
そこで「おれはまだまだ修行が足らんなあ。」という嘆息に。
- 2014/09/24(水) 21:12:27 |
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- soujyu2 #-
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