清水寺にある人を訪ねての帰り、八坂通りを西に向かって走っていると、ふと見つけた看板にこう書いてありました。
「I open when I wake up
and close when I must go to sleep.
when I 've had enough, the store is closed.」
そしてこの方が傍らから突然「これ読めますか?」と

これは元来日本語で次のように書いてあったものを、この方を認めたある方が英訳をされたのだそうです。
「朝起きたら開店します。 夜寝ないといけなくなったら閉店します。 もうたくさんだ、という時も店は閉まっています。」

この方は「世界で一番小さな浮世絵博物館」の館主でもあり、表題のように現役の「浮世絵の摺師」なのです。・・・( )内は私が補いました。

その存在は「江戸」、京都において総計30人ばかりになっているそうです。
京都文化博物館で印象派の展覧会がありました。押すな押すなの大盛況でした。
日本ではゴッホや、ルノアールが「浮世絵の影響を受けていた」と説明されて、「ほーっ、日本の文化はすごいんだなあ。」とずいぶん自尊心をくすぐられる機会でもあります。だから印象派が人気だといううがった見方もあります。
ですが、浮世絵ばかりでなく日本の伝統的な芸術をフェノロサたちが評価してくれなかったら、今、浮世絵や大和絵、仏教美術はどうなっていたでしょうか。
当時は浮世絵は輸出商品を包む包装紙としても海外に流失していました。
自国の文化を正当に評価できなかったことの反省に立った文化(教育)が今日の日本で形成されているでしょうか。
富士山が世界遺産になり和食が評価されて、日の丸や旭日旗がうち振られていますし、安倍総理のように随分と古い日本びいきの宰相が人気です、が・・・・歌麿や北斎を、今日再び高度に摺ることのできる人は、今や風前のともしび的存在なのです。
もはや若い世代を育成するにも手遅れです。
この方はそんな「絶滅危惧種」になった自己の存在を意識して、自宅を開放して「世界で一番小さな浮世絵博物館」を開いているのです。

そうして仕事の期限に余裕のあるときには日がな一日こうして路上に出て、行く人に声をかけるのです。
「ハロー アイアム プリンター オブ ウキヨエ。 ドゥー ユー ノー ウキヨエ?」と。
このとき足を留められたのがブルガリアの女性でした。

この方の「変人的」な行動の底には限りない悲しみ、悔しさ、怒り、情けなさ、そして使命感が沈澱しているのだと・・・私の主観ながら・・思います。
私に言わせれば、
長蛇の列ができる印象派の展覧会。そこにある浮世絵の影響を解説した文章。
だが、今日その浮世絵の摺り師一人食べさせることのできないこの日本。この日本の文化行政。
日本ブランドを食い物にしてはいても職人の現実には無関心な大企業・政治。
・・・・無知な自分。

そう、そこに気付いてほしんだよ!!
- 2014/05/22(木) 00:00:24|
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