生活が変わって今やスーツは「箪笥の肥やし」でしかないが、ジャケットを引っ張り出して着ることがある。
実に気持ちがいい。
弟さんに代わってもう長くなる。お兄さんは新たな場所で店を開きその地で二店目を開いてもいる。
この弟さんからも本当にいろいろ教えていただいた。
服のセンスが、元来、とても保守的な私がいくらかは服を楽しめるのはこの方のおかげだと思っている。

そういう意味ではホームドクターのようなものだ。
カメラなどもネットで購入する時代だし、より安く手に入れたことを自慢する風潮だが、そのことでこういう「小売魂」をもった方たちを失ってきたと思う。
自分が好きなものをできるだけ安く買ったらいいじゃないかという人もいる。無論だ。だが、自分てそんなに素晴らしくて合理的かつ最適な判断ができるのだろうか。
他の専門の人々の知識や技術に学び助言してもらうことを大切にしない時代は精神が薄っぺらいのだと私は思っている。

本当に信頼に足る人の発言なのかどうかわからないネットの商品コメントを読みあさるのに、お店の人の話を聞かないのはなぜなんだろう。
とにかく安く買えばいいということの付けがそのうち、いやもうすでに我々に押し寄せて来ている。
他人の仕事を正当に評価し、正当な対価を払うことをしない文化のなかでは、自分も公正公平に評価されないし、正当に支払われない文化だと気づくべきだと感じている。
この方の仕事を見てそう思う。

紳士服は安くない。少なくとも私の収入から言えば安くはなかった。
だがこの店で、賢い買い物をさせていただいたのはこのお店の経営姿勢のおかげなのだ。
詳しいことをここで書くことができないが、このお店は建物の一角にユニオンジャックをデザインして「英国大使館」の後援を表示することを許されている。

私は今回もこの店で進めていただいたシャツとジーンズを着て東京の息子の芝居を見に行った。
「ご満足いただけましたか?」 この方がよく口にする言葉だ。
「もちろんです。ありがとうございました。」
テーマ:ある日の写真 - ジャンル:写真
- 2014/05/12(月) 00:02:54|
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