「『おけさ』です。」と言われても直ちにはそのイメージが湧きませんでした。
私のとって「おけさ」と言えば「おけさほど唯物論は広まらず」(戸坂潤・・・・この感慨は現在でも同じですね。)です。
「おけさ」とは「御袈裟」のことです。僧侶の着る「あれ」ですね。
この方は法衣を制作販売する会社「蓮祥」の専務さんです。

この分野もご多分にもれず先行きが不透明です。
そこで伝統的な法衣製造の蓄積を応用して新たな商品開発をしようとしています。

会社に働いている「おばちゃん」たちの意見も大いに取り入れて皆で相談して「あれこれ試作しているんです。」
いろいろ知恵を出し体験を交換して商品開発。小規模な企業だからこそですね。

誰ともわからない商品開発部が何の目的でかもどんな品質なのかもしれないものを作って、営業部員が販売するような大きな企業では味わえないだいご味でしょう。
商品の説明にも力が入りますし、お客さんの反応に対して傾ける耳も真剣です。
「お袈裟」作っている会社なんです。その技術を生かして作りました。という説明にとても力を感じます。

今指さして説明しているのは人台に着せられた「袈裟」ですが、新開発されたものは手提げにも肩にかけるショルダーバックにもなる布製のバッグです。
それが袈裟に使われるさまざまな布を利用し、丁寧な縫いでつくられています。
異なった記事の組み合わせの面白さや、色の組み合わせもなかなか素晴らしくて、きっと評判はよくなるという予感があります。
価格設定はずいぶん押さえているなあという感じです。
この方が袈裟がけにかけているのもそのバッグですし、ペンダントにしている白い輪が見えますが、これも袈裟に使われているものだそうで、これに外したメガネをかけてくださいとのこと。サングラスなど小粋にかけたらいいかもしれません。

とにかく自分たちが作り出したものという輝きがあります。
写真には登場していませんがお針子の「おばちゃん」もおられて、良い職場だろうなあと感じました。
テーマ:ある日の写真 - ジャンル:写真
- 2014/04/03(木) 00:04:29|
- 伝統工芸
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