工芸作品の中でも漆器は魅力的なものの一つです。
しかし、漆器もまた惜しまない手間を要求しますから、なかなか若手が増えません。
工芸に若手を育てようと若手の作品展示会なども開催されるのですが。
ですから工芸の分野で若手を見かけるとついうれしくなって近寄ってしまいます。

砥の粉に漆を混ぜたものを木地に塗って木地の凹凸をならします。 その凹凸をならすのに「炭」を使います。[ 以前書いた記事に「墨」と書いてしまいました。磨って滑らかなのは「炭」ではなくて「墨」だろうという先入観を持って話を聞いていたために、誤解をしてしまったのです。]
その炭は椿のような目の詰まった堅い木を焼いて作るのだそうですが、この炭を作る職人さん自身もまたとても少なくなってしまっているのだそうです。

1センチ×1.5センチくらいの小さな墨を指先でつまんで磨きます。
机と箪笥のようなものは所に使う墨くらいの大きさのものを使うのだそうですが、こうした小さな作品には将棋の歩の駒くらいの小さなものを使います。

この方はこの仕事について8,9年だそうです。
仕事に入るについては「初めは本当に何の役にも立たない身ですから、小遣い程度しかもらえません。ようやく・…。」ということだそうです。
つまり「弟子入り」ということなんですね。

実際受け入れる側からすれば、ものづくりから見れば役に立つどんな技術も持たないものを食べさせて、仕事を教えるのだから、それ以上のことはできない。」というのが当然なのでしょう。
親方自身でさえ仕事を続けるのが難しいご時世なのですからなおさらです。
それはそれとしてうなづける面があります。
しかし、そのことが若者には大きな壁となるでしょう。

伝統工芸の分野で、後継者がない問題はごくごく一般的で深刻な問題なのですが、こういう若者に展望が見いだせない状況が立ちはだかっています。

「好きだから・・・。」 こそなんでしょうね。

頑張れ、若者。
テーマ:ある日の写真 - ジャンル:写真
- 2014/03/13(木) 00:01:56|
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