漆を使った工芸です。

焼き物・・・ぐい飲みでしょうか・・・に漆を施し、磨いています。

漆の「つや」は色気があって好きです。
が、お高い。 お高いのも道理です。手間がかかっています。塗っては磨き、磨いては塗り重ねる丹念な仕事をしなければなりません。
この作品は湾曲していますからサンドペーパーを使っていますが、平面のものでは墨を使うことがあります。

漆の猪口を持っていますが、お酒を注ぐとそこにある模様がゆらゆらと浮かび上がります。
模様がなくともそこの漆のわずかな光の反射がお酒に揺れて楽しめます。

指に伝わる感触もとても柔らかいですね。
こういう陶器では野趣あるざらざら感もまた楽しいものです。

手入れの煩雑さや一般に高価なことから次第に私たちのもの周りから姿を消しつつある漆器です。
特段の手入れを必要とせず扱いもあまり注意を必要としないものが世に溢れています。そういうものは工場出荷時に最もきれいで状態がよく、経年変化はすなわち劣化・減価でしかないようなものが一般となっています。
私たちはその製品に対する知識も素材についての知識も必要ではありません。
つまりそれだけのものを私たちは失っているわけです。手入れをしてこそ価値が高まるという思想や風潮が衰弱していますから、使い手の存在価値は無です。消費者の持つ文化は意味をやせていきます。
これが日本の文化をつまらないものにしていると思います。

カメラもそうですね。最新のものが最良のものだとという言葉がほとんど疑問なく使われています。
かつて消費は生産であったと、私は思っているのですが。
消費によって価値が付与されていくような文化であってほしいと私は思っています。
テーマ:ある日の写真 - ジャンル:写真
- 2014/03/02(日) 00:02:27|
- 工芸
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0