
この経糸を張る仕事を「綜絖(そうこう)」というんだそうです。
先日も他のお二人がこの仕事をされている様子をアップしました。

現在京都にはこの仕事をされる方が10人、というか10家族おられるんだそうです。
ですが、この仕事だけで毎日を過ごせるような状態ではすでにないのだそうですし、後継者はありません。

こうした単調な仕事に従事するような若者はないのだそうです。
見せていただいている仕事は右手の方が差しだす糸を左手の人がかぎ針ですくって、機械にたらされた紐の穴に通すのです。
この日もを設置するのもこの方たちの仕事です。
この紐の生産がすでに日本のどこでも行われていないのだそうです。もし仮にこの紐を東○レーヨンかどこかに発注すると、機械をこの糸のために設定して撚り始めたら、ほんの数分で京都の年間需要の糸が作られてしまうのだそうです。その企業にとって儲けにもなりません。

紐の途中に「はと目」のような穴があいた金属があります。この穴をあけるのはスイスの会社なのでそうで、日本では生産されていません。
日本の京都の和服産業はスイスの一社に支えられているというわけです。
紐下にぶら下げられている金属性の細い棒状のお銛ももう作られていません。

日本の和服産業は既に確実にじわじわと終末期を迎えています。
いえ、「じわじわ」などというのんきな表現はあたりません。

こうした姿は写真に撮ろうと思ってもあと10年ほどで撮れなくなります。
私は焦りにも似た気持ちで撮っています。
テーマ:ある日の写真 - ジャンル:写真
- 2014/02/20(木) 00:04:13|
- 伝統工芸
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