職人さんたちの写真をポスト オンできるのはうれしいです。
が、一面悲しいですね。
なんと言いますか、色々なところで地球環境を守ろうとか、生物の多様性を残そうなどと言っても今現在地球のあちこちで様々な種の最後の個体が死滅しているのです。

日本の伝統工芸もまた、同じ状況ですもんね。
どれだけ「日本に京都があってよかった」だとか、日本の伝統的な美や食やについて語るときにいくら京都が引き合いに出されて、一部のものは観光資源としてちやほやされたとしても、、もう職人の世界の大半は「不可逆的な衰亡の過程」:に入ってしまっています。
もう、遅い、のです。

その中でもこうして伝統を継承している人々は本当に貴重な方々です。
ですから、私は「種の採集」の意識も持ちながら撮っています。

市長が和服を着て議会に登壇しようと、文化庁を京都に招こうと、事態はもう戻らないでしょうねぇ。
これまでと同じ論理で工芸を見ている以上は、もう滅びの道をまっしぐらです。

職人さんたちは、懸命に技術を高めてモノづくりしていくより方途がないのですが・・。

この方は手描き友禅の範疇にある「金彩」をされています。
これは「付け下げ」の生地です。 多分。

一旦、外国人観光客に依存した観光施設は、COVID-19の感染が増えている中で「行動規制をしない」などといって日本人の観光的な動きを促しても、客は回復していません。
私たち幾人かが注目していた瓦製作技術を生かした造形を販売していた若い夫婦の店も閉じられていました。
発展的に引っ越したというなら、それはうれしい誤解なのですが。
- 2022/09/12(月) 00:00:05|
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このところ職人さんの写真を撮る機会がほとんどありませんでした。
貴重なチャンスです。
この方は蒔絵をされています。

ただここは公開実演の場所ですから、本格的な蒔絵の仕事はできません。
紙を基礎にした栞を作ります。 紙と言っても漆を何度も塗りますから、耐水性もありますし丈夫になります。
その栞に、「生」のカエデの葉に漆を塗って、それを版にして栞に形を転写します。

ご存じのとおり漆は短時間では乾きません。通常は湿度を高く保った室(むろ)の中で「乾かします」
ですから一つの作品を継続的に作っていくことはできませんので、複数の作品を並行して作ることになります。
油絵も同じですね。

この写真の肝は漆を塗るための作業用の板です。
何度も何度も使われて実にいい色が出ています。

この日は「人物しか撮らない」と決めて出たので、α99にミノルタの80ミリです。
私的には、色について安心して撮れます。
あるいはα900の方がもう少し落ち着いた色で良かったかも知れません。

先日、街頭演説する共産党の人たちを撮りましたが、その時にはα99に80-200、f2.8を使いました。
このレンズで撮れる色やボケ・明瞭度は大好きです。 ミノルタのレンズがお好みです。やはりいいレンズを求めたいものですね。
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- 2022/06/26(日) 00:00:06|
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お爺さまは「もう廃業届を出しました。」とおっしゃっていました。二台あった織機の一台はもうすでに廃棄され、この一台もまた近々解体廃棄されるのだそうです。ただの鉄の塊として、重さで取引されるのです。
西陣織の灯がここでもまた一つ消えていきます。

廃業届を出し、この織機の処分がされるまでの、数えるほどの日時のうちに・・・「仕事・商売」として織っているのではなくて、・・・親しい人からの頼みで手すさびをしているようなものだそうです。

もともとは厚紙のパンチカードに穴をあけて経糸を上げる指示をしていたのが、やがてフロッピーディスクに情報を取り入れて、それによって経糸を操作していたのです。この工場にあるジャガードはそれです。「故障したらもう修理は効かない。もう修理する人もおらんしね。今ではメモリーカードを使うのだけれどそんな機械を入れるような余裕はあらへん。それだけの仕事もないし。」

この界隈では、私が大学生の頃には、ちょっと路地に入れば、あっちでもこっちでも機音が聞こえました。もうその音を聞くことはごくごく稀です。

仕事の合間には大文字山などにも登られる方で、まだまだ働けるのですが「潮時」だという事でしょうか。
写真を撮る者としてこの瞬間を撮らないではおけないなあと、いくらか逡巡されるのを、敢えてお願いして撮らせていただきました。

お孫さんの服部愛子さんも「いつ、機の音が止まるんだろう。」とちょっと切なそうでした。

「日本に京都があってよかった」など言ってもその京都は着実に、もはや取り戻せない境まで壊れています。

観光にしか生きる道を見いだせない京都府市政。
それがやがて全国の人々の悔やみになるのは必定ですが、そのことに中央政府もまた無関心で、無為無策です。
戦場で死ぬことしか愛国心と考えない輩たちの政治ですからね。

わたしもまた為す術がありません。ただシャッターを切るだけです。
- 2022/06/03(金) 00:00:03|
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街巡りを終えて帰路についていると、ふと目に留まるものがありました。一旦は通り過ぎたのですが、Uターン。
道路と家との間のわずかな空間にテンントを建てて何やら販売しています。そう言えばその日は25日で、北野さんの「天神市(あまりこの言葉を聞いたことがないのですが)」。その人通りを見越しての出店かな? 訊くとご自身がデザインしたものを伝統の技術『手捺染(ハンドプリント)』で染めた生地を販売しているとのことでした。

販売していたのは服部愛子さん。彼女のHPの記事の一部を紹介しましょう。
「近年、海外での大量生産や機械化の流れで衰退傾向にあった京都の伝統産業。
その現状に追い討ちをかけたコロナ禍で観光客の激減。
そんな京都では、コロナが収束してインバウンド(観光客)が戻ってきたら、小さな中小企業や職人たちは何もできない、百貨店がなんとかしてくれる・・・
そんな受け身の雰囲気のある現状を変えたい、ちっぽけな自分たちでも、それぞれが得意なことを補いあって集まればきっと変えられる。」

そういう気持ちで「京都のテキスタイルブランド”スピカ模様店”が伝統の技術『手捺染(ハンドプリント)』で染めた生地で多種多様な手仕事の職人さん達と繋がり、コロナでダメージを受けた京都の伝統産業の技術・手仕事の温もりを元気にし、現代に継承するため、日常に使える、おしゃれな商品にして全国の皆様に届けます。」という事でした。そのためにクラウドファンディン雲立ち上げ、100万円を大きく越える資金が集まったそうです。


そんな話を聞いていると背後から織機の「ガッチャン ガッチャン」という音が聞こえます。
えっ?!この場所でまだ織機が動いている?!
この人の祖父にあたる方がまだ織機を動かしているんだそうです。早速、覗かせていただきました。

お爺さまは御年88歳。ジャガードを操っておられました。高級な西陣織です。
服部愛子さんはこうした機の音を聞いて育った方ですから、京都の「糸偏」の衰退には人一倍心を痛め、復興・活性の道を求めているのでしょう。

- 2022/06/02(木) 00:00:07|
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この会場になっている「小さいおうち」というギャラリーは昨年11月に、私も写真展をした場所です。
そういうこともあってギャラリーのオーナーが「知人の写真家です。」と紹介してくれたので、撮影をお願いするのにハードルが低くなりました。
それにみなさん香川の工芸を打ち出すぞという気概に満ちておられますので「どうぞ。」と言ってくださいます。

少しでもお役に立てばという気持ちが湧きます。

出入り口の大きな開口部近くに実演の場所を設けて描いておられます。
外光が差し込むときには明るいのですが・・・・。

香川県には「丸亀うちわ」「張子虎」「一刀彫」などなどいろいろな工芸品があってそれぞれ「伝統工芸士」の称号が与えられているようです。
我が静岡県ではどんなものが伝統工芸として指定されているのでしょうか。一度調べてみたいと思います。きっと東に偏っているんだろうなあと思いますが。

この催しのコンセプトに「今日の『日常生活』で使われるモノの模索」ということがあります。
これが伝統工芸品がこれからも伝統工芸品であり続けることができるかどうか、その成否のキーワードでしょうね。
そして、私はもう一つ私たち庶民の生活の豊かさがこれに深くかかわると思います。
2018年の統計で各国の比較をすると
「驚くことにここ20年の間に各国の労働者の時間当たりの賃金の伸び率は・・・、
韓国 167%
イギリス 93%
アメリカ 82%
フランス 69%
ドイツ 59%
日本 -8%
ということになって日本はOECD内では最も劣等生に属するのです。 富裕層や大企業の資産は増加する一方なのにですね。
これでは工芸品の需要だって減る一方なのは当たり前です。
それでつい世界に購買層を求めるのですが、それだけではダメだと思いますね。

賃金労働者にとってはまさに「失われた20年」です。
中小業者や職人さんたちも労働者と一緒になって労働者の賃金の大幅な引き上げを実現しないと結局「伝統工芸」の明日もないと、私は思います。

日本全国で「職人サミット」などをしたらいいのになあ。
ぜひ積極的に描く力京都においで頂きたいですね。
その時にはデパートなどでしないでこうしたギャラリーを利用して私たちに見やすいようにしていただけると嬉しいですね。

楽しい出会いでした。
- 2022/02/13(日) 00:00:03|
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