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素敵な人たちと

素敵な人たちと一緒に素敵な写真を撮ります。 なお写真のコピーはご遠慮ください。

素敵な人たちと  by 蒼樹   絵蝋燭

 円柱というか逆双円錐のような和ろうそくの表面に絵を描くのはなかなかの難事だろうと思います。
 水平線を核にしても横に回り込むのをどこから見ても水平になるように描くのは案外難しいのだろうと思います。しかも筆ですからね。

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 大きな筆の方はいったん置いた絵の具を水で広げてボカシを入れるためのものです。
 平筆のようになっているのですが、丸筆の筆先を唇で整えているからです。

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 「長年の間にはずいぶんと沢山の絵の具を食べてきましたねぇ。」と私。
 「そうだねぇ。身体には悪いね。昔はいろいろな金属が混じっていたからね。」

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 「まあ、しかし、もっと悪いことをしてきているから、そっちの方が問題だね。」と。

 お酒やたばこのことを言っているのです。

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 口を真一文字に結んで描いておられるので一見気難しい職人さんかなあなんて感じなのですが、実はとても気さくな方で、楽しいお話をされます。

 職人=気難しや   無口    などというイメージがありますが、それはあくまで仕事上のこだわりの事。
 「気難しいと言われると、まあ当たってる面があるけれど。」と多くの方がおっしゃいます。

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 でも写真を撮らせていただくときにいろいろお話を伺うのですが、大概の方が、気さくで明るいです。
 もっとも私がお会いしているのは公開実演に出かけてきている方ですから、それは当然と言えば当然で、一本の木から森全体を説明するのはいけませんね。

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 手元を照らす灯りがこちらを向いていると、こんな風に苦戦します。

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  1. 2019/09/23(月) 00:00:41|
  2. 工芸
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素敵な人たちと  by 蒼樹   手描き友禅   Ⅰ

 友禅の手描きをされる瀧さんです。
 これまでも何度か撮らせていただいていて、「ご無沙汰しています。お元気ですか。」というあいさつになります。
 すでに娘さんも同じ仕事についておられるのですが、瀧さんにという仕事が来るのです。

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 今日は、直しながらの仕事だからと言われますが、どこを直さねばならないのか私のようなものには分かりません。
 今は金色の絵の具で縁を撮っているのですが、赤紫の木のみが俄然浮き出てみずみずしい艶を発揮するのには驚きです。
 無論実はにじみやボケを生かして細やかなグラデーションで描かれているのですが、それがまさに輝き始めるのです。
 それも派手にならずガチャガチャとして落ち着きのないものになるのではなくて、生命力が出てくるといった感じなのです。

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 後日若い方のものを見たのですが、それはもう雲泥の違いと言っていいほどに差があります。
 
 やはり一朝一夕で追いつくものではないのだなあと、そして優れたモノがどれほど優れているかは、比べてみると歴然なんだなあと思いました。

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 使われているのは「面相筆」というものなのですが、これを作られる職人さんも既に本当に数が少ないのです。
「この筆も傷んでしまって…だましだまし使っているけれど・・・。」
 いくらかは備蓄もあるそうですが、これからは入手も大変だねとおっしゃっていました。

 大原の方にこの面相筆を作っている方がおられますが、事情は厳しいようです。

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 皆さんお気づきでしょうか。瀧さんが左手に握っているものが何なのか。
 この中には絵の具が入っているのですが、「縁で筆を整えたりするのにちょうどいいし、直す時(片付けるという意味)に絵の具が漏れないので重宝している。」とのことでした。
 昔はできたものを写真に撮るプロの方がいて、その人からもらったのだけれど、今はそういうことがなくて、困っている。ひょっとしたら持っていないか?と尋ねられたのです。

 そうです、フィルムキャップです。

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 昔はやたらと溜まって始末に困ったものですが、今私はデジタルカメラでしか撮りませんので、果たして部屋のどこかにあるかどうか。
 「プロの人に聞けば持っているかもと思って、会えたら訊こうと思っていた。」というのですが、誤解はともかく、何かの役に立てればと思って帰宅すると家探しです。


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 幸い数個を見つけましたので翌日そのキャップとこの日の写真を届けました。

 伝統工芸のすぐれた職人さんたちだから何か相当高価で特殊な道具を使っているのだろうと思ってしまいますが、皆さん日用雑貨や百均の店先に見られるもの、そうしてこんなものをうまく工夫して使っておられるのです。

 高いレンズばかり欲しがるのも能の無いことだと思わされれマス。

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 なんでも既にどこかの会社が製品化したモノをカタログや宣伝の動画などを見て、これさえあればうまく撮れるなどと思い込んで主体的な工夫のないところにいい写真は生まれないのかもしれません。自戒自戒。

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  1. 2019/09/22(日) 00:00:21|
  2. 工芸
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素敵な人たちと  ぶy 蒼樹   西陣織・図案

 西陣織の図案は図案を描く職人の「図案」を問屋が買い取る仕組みです。
 印税のように売り上げに伴って支払われる仕組みではありませんから、いくら売れようが売れまいが、それにかかわりがありませんし、またその図案の色を替えたり一部を取り出して組み合わせようが反転させようがお構いなしです。

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 図案を描く方たちの多くはご自宅に図書館並みに図案を研究収集した本、図鑑がそろっています。
 
 歴史的に過去にさかのぼって図柄は探され参考にされていきます。

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 ですからこの方たちの知識の集積は膨大です。

 季節、吉兆、高貴な図柄などなど・・・・意匠に伴う様々な文化的な知識や習慣を幅広く知っていなければいけません。

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 そして何より絵が描けなくてはいけないわけです。

 もうありとあらゆることが試みられているような世界でなおかつ新奇な、創造的な意匠を生み出すことは並大抵ではないと思います。
 ですから過去の作品やほかの職人の作物から剽窃と紛らわしいものを描いて済ますような人もないではないのです。

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 そこに職人や問屋としての矜持を保てるかどうかということはなかなか難しい問題かもしれません。
 が、職人同士にはすぐに分かってしまい、そういうことに「人の口は戸は立てられない。」原則が働きます。

 何十年も続けていくのは本当に大変なんだろうなあと思います。

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 この方は帯の下絵を描かれていますが、そうした下絵の原画を掛け軸に仕立てたりして、作品化されていました。

 それにしても手の込んだ下絵です。

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 下絵の意匠は膨大な量がすでに過去のものから現代のものに至るまでスキャンされてデータベース化しています。それで問屋はこうした下絵職人に仕事を出さないでデータベースから豊富に取り出して、改作して商品化しています。
 職人の仕事は減るばかりです。

 問屋が目先の利益のために西陣織の根を切っているのです。

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 それを「生き延びるために仕方がない」と言えてしまうのでは、もうこの世界は終わりです。

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  1. 2019/09/18(水) 00:00:37|
  2. 工芸
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素敵な人たちと  by 蒼樹   ある日の指物師   

 この一枚は来年の写真展に出そうと思います。
 11月に京都写真美術館でミュージシャンたちの、来年5月の上旬には魅力的な女性たちの写真をギャリエ・ヤマシタで、そして8月下旬のファインダー倶楽部では京都の職人たちを取り上げて展示しようと思うのです。その一枚です。


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 私はものぐさで優柔不断で努力とは対極にいる人間なのです。そうした人間に何かをさせようと思えば何らかの縛りを課すしかありません。
 その縛りの一つが計画を口外してしまうという事です。
 そうでなければ、ああでもないこうでもないと言い訳をして、計画は永遠のかなたに先延ばされ、決定すべきことについていつまでもいつまでも行きつ戻りつの逡巡をするのです。

 それで精神的な不安が増して情緒が安定しなくなるのです。

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 もう長いこと自分と付き合っていながら、そういうことになかなか分別を付けられないのが私です。
 それでここに書いてしまいました。

 来年はもうひとつ2月から3月の間に写真展がありますので、当面これから4回が控えていることになります。
まるでいっぱしの写真家のようですね。

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 そういえば先日一枚のはがきが我が家のポストに届いたのですが、あて名は「蒼樹」でした。
 これは勿論、本名ではないのですが、最近はこの名前で届きます。おかしいですね。
 それで「これは本名じゃないはずだけれど、果たしてこの名で届くかな?」と思われたのでしょう、差出人さんは( )してその中に「写真家」と書いてくれたのです。郵便配達の人は、私が写真を撮っていることなど毛の先ほども知らないのですから、何の足しにもなりませんでしたね。

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 この一枚のはがきによって郵便配達の人が、所番地とともに「写真家様」とでも書いた郵便物をわが家に放り込むようなことがあれば、これは大事件ですね。
 まあ逆立ちしたってそういうようなことにはならないでしょうが、郵便局の人たちのサービス、心遣いは相当なものですからまかり間違うとそういうようなことも起きかねません。そのような学習のご苦労をおかけしないようにしなくてはいけませんね。

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 桐の木を削って正座の時に・・・例えばお茶会でのように・・・お尻の下に置く簡便な椅子を作っています。なかなか好評を得ているのだそうです。
 よく研がれた鉋が気持ちの良い音で桐の木を削ります。「けずります」という様なガサツな音ではなくて滑るようなきれいな音です。
 高価で名高い一品の鉋より、よく研ぐこととその腕の方が肝心だね。ことに我々にとっては鉋は消耗品だからあまり高価なもの使わないね。 木口に垂直に刃を当てるのではなくて、やや弧を描くように鉋を引くのだそうです。そうしないと刃で繊維をひっかくことになるのです。弧を描く様に引けば刃で繊維をスライスすることができます。刀で物を切るときも同じですね。

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 鉋は「刃」はもちろん大事ですが、さらに「台」がよくないといけない。それで「台」はいいものを手に入れるようにしている。稠密な組織で硬いものでないといけないからね。
 この鉋の台の底面が際立って平滑で平らでなくてはいけません。

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 鉋屑が美し。

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  1. 2019/09/17(火) 00:00:24|
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素敵な人たちと  by 蒼樹   紋意匠図

 この仕事はあと10数年したら地上から無くなるかもしれません。
 無くなりはしないけれど担い手は本当に一人か二人になるんじゃないでしょうか。
 この仕事を身につけたこの人さえもがもうすでに10年来コンピューターでこの仕事をしているというような状況ですから。

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 もはやジャガートを使って手織りをされる職人さんも少ないですし、この人の書いている紋意匠図に従って紋紙にパンチの穴を穿つ職人さんも何人おられるか。

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 ですから、半世紀後には、ある意味でこの写真は貴重なものとなると思います。

 いや、私の撮ってきている多くの写真がそういうものとなる日はそう遠くないと思います。


 私が撮ろうという思いと、この方たちが撮っていいよ、あるいは撮ってほしいという思いは、言わず語らずにそういう歴史的な瞬間を迎えているということに対する実感が相互の思いの背景にあるからでしょう。

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 多分、伝統工芸に関心のある方たちもない方たちも、この現場の人たちが感じている諦めにべったりとまとわりつかれた悲しい笑顔の実感に気付いていないでしょう。

 ここに私が書いていることの歴史的意味についても。

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 それはちょうどグリーンランドの氷山が解けて地肌がむき出しになっているという事実を取材しているカメラマンやディレクターの発している警告が受けている反応と同じかもしれません。

 海がプラスチックごみで絞殺されているということを報告している人々の、立ちすくむ気持ちに通じるかもしれません。

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 もう再生可能という「限界」は越えてしまっているのです。
 
 人々が何やら美しく「日本に京都があってよかった」とか「1000年の都・京都」「観光客ナンバーワン」などと浮かれたことを言っている間に、滅びの言葉をこの人たちは毎日聞いているのです。

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 紋意匠図を描いて、紋紙にパンチを打ち、ジャガードで手織りをするなどということは、実に非効率です。そして製品はすこぶる高価になります。
 パソコンで指示して自動織機を動かせば足りると考えれば、それはそうでしょう。

 ですが手作りの西陣織の「世界に誇る」見事さは永遠に失われます。 

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 ネット上を飛び交う「日本万歳」的な言説、そうしたモノをまき散らしている人々の意識の外で「日本的な極限美や巧み」は確実に死滅していくでしょう。
 

 それが安倍氏言うところの「美しい日本を取り戻す」政治の帰結です。

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  1. 2019/09/04(水) 00:00:34|
  2. 工芸
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プロフィール

soujyu2

Author:soujyu2
 人はいろいろな場所で様々な思いを抱いて頑張っています。そんな人々の素敵な表情を追いかけてみようと思います。
 「素敵な人たちと」の出会いが私をワクワクさせます。

People hold various thoughts and are doing their best at various places.
I think that I will pursue such people's great expression.
Encounter of "nice people"
excites me.


 大変恐縮ですが、無理をお願いして撮らせていただいている写真です。ご本人のためにも無断でのコピー、転載は固くお断りします。

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