先日あるブログを見せていただくと、結婚式の写真を撮ってくれるように新婦となる友人に頼まれたことをとても喜んで「楽しみだ」と書いている方がいました。その方が写真をとることを楽しんでいることを知っていて友人が頼んできたのですね。
この私のブログを見ていただいている方の多くも写真をとることを楽しんでおられて、多かれ少なかれ先の人のような嬉しい経験をされてきたことと思います。
私もある歯科医院さんが患者さんなどに送る新年のご挨拶の「お便り」に医院のスタッフの普段の働きぶりを私が撮ってその写真を使ってくれた経験があります。
また今回紅型染めのチリントゥさんが作品紹介のためのパンフレットやホームページに使いたいからと写真撮影を依頼してくれました。
趣味で撮っている私にとっては「認めてもらえた」という嬉しさがあります。
チリントゥさんは以前に工房での制作の様子を撮らせていただいた方です。
その際に私のブログを見ていただいて、「バッグや着物を、棚に置いたりするのではなくて実際に身につけている形で紹介したいので写真を撮ってくれないか」と依頼してくれました。
今まで経験のないパターンですから、おもしろそうだと思って喜んでお引き受けしました。
今日はご自身と工房を手伝っている方とがモデルです。

いつもは人を撮るのですが、今日は作品を意識して撮っていかねばなりません。せっかくの染めの色合いが出ないといけないのですが、これでは・・。

来週は着物姿で、と計画しているのですが「京都らしい雰囲気、景色の中で」というのも御注文です。

ショールやかばんもモデルのポーズ、しぐさや表情によって生きてきますから、「モノ」とモデルの両方に注意を払わなければなりません。
これまでは服などはモデルを引きたててくれたり雰囲気を醸してくれればよいとおっもていたのですが、これはなかなか難しいようです。
(⇔)

肝心の作品を引き立たせる背景も選ばねばなりません。
でもこういう「難しさ」は楽しいですね。

お二人が仲良く楽しい分に気を作ってくれるのでとてもやりやすいし、第一に作品をどう表現しようということを一生懸命考えてくれています。ここが仕事として依頼を受けているのと違うところでしょうか。一緒に楽しみます。

素敵なエントランスのあるお店に入っていって撮影の許可を得ます。そんなことも一緒にします。
ここに選んでいる写真はパンフレット向きだというより撮影を楽しんでいるという雰囲気のものです。

際立たせるというよりもシックに行きたい私の傾向が出ます。もっとおしゃれ感覚の方がよいのでしょうね。
作戦会議中もシャッターチャンスです。
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- 2012/03/11(日) 00:01:09|
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戸谷さんはこの建物の1階で紅型染めの教室を開いておられます。その教室にはなんと東京から通っている方もおられるのだそうです。!!!!。
世の中には「打ち込み方が尋常ではない。」人がいるのですね。
無論、指導される戸谷さんの人柄や技術の裏付けがあってこそこういう受講生が出てくるのでしょう。

紅型の技術に限らず沖縄(琉球)の文化には東南アジアや東アジアだけではなくて世界の文化の影響があります。東大寺正倉院だけがシルクロードの東端なのではありませよね。
先の戦争で猛烈な地上戦の犠牲になった沖縄。1945年の2月に戦争終結の現実的可能性がありました。その時に戦争継続を判断した昭和天皇。仮に天皇が国民の命と財産と文化を今少し重く受け止めていてくれたら、沖縄の多くが失われなくて済んだのにと悔やまれます。

でもこうして沖縄に出向いて修行し、紅型御三家といわれる知念工房の伝統を「内地」で受け継いでいる方がいるのは希望です。しかも戸谷さんは「自分のデザイン」を追及して伝統を発展的に継承されようとしています。

いつもはこんな風に「黙々と制作しておられる」という感じを出してみましたが、いかがでしょう。
バックにラジオの番組が流れています。
(⇔)

この撮影の後で戸谷さんから素敵な御提案をいただきました。
工房・チリントゥのリーフレットには戸谷さんがモデルになって作品紹介の写真が幾枚か載せられています。
そういう写真を私に取ってみませんかというお申し出です。
また新しいことを経験させてもらえそうです。そんな計画がうまく実現するといいですねと希望を述べてお暇しました。
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- 2012/02/25(土) 00:38:29|
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制作の様子や作品を紹介のならば下絵を描いたり方が実を小刀で切り抜いたり、あるいは糊を置いたり洗ったりという過程を撮らせていただかねばなりません。
しかし、そうなると・・・この仕事だけをされているのではなくて渉外や「教室」での指導などなどをされていますので・・・ずっと何日間も張り尽かさせていただかねばなりません。

それだけの工程を経るのですから当然のこととして紅型染めの布で縫った和服や帯は「高価」にならざるをえません。
こうしたことは西陣織や友禅染も同じことです。
私の母親も布だけで数十万円という婦人服の「針子」をしていました。〇〇会社の社長夫人などが名指しで「縫ってほしい」と注文をしきて、実に見事な仕事をしていました。けれどデパートの高級婦人服の店の仕事を受けていたためもあってその「値段」や購入される方たちの生活のレベルとはあまりにも違う「工賃」で、その仕事場と出来上がる服とはあきれるほど不釣り合いでした。

デパートのあり方にも問題があると常々思っていますが、実際にモノを生み出す労働や技術に対する社会的な尊敬があまりにもなさすぎる現状があると思います。
今財政が苦しいからと安易に公務員の賃金を減らす議論がなされていますが、働く人を単なる人「材」として賃金を経費として「安ければ安いほどいい」なんて言う風に考えていると日本の国の労働文化がどんどん衰亡して、国民の心、ことに青少年の心が荒廃していくように思います。
アジア諸国は低賃金だから企業進出に都合がいいなんて言うことを企業経営者だけでなく労働者自身が平気でいっているようでは、日本の未来は暗いと思います。

さて、職人さんの仕事は案外孤独なものです。
業種によっては工房に数人とか十数人とかが一緒に働いている場合もありはしますが、大概は個人営業で一人でとかご夫婦でとかで働いている場合が少なくないように思います。
つい一日話さずに終わってしまうような孤独な作業です。もっとも孤独だということと「寂しい」とか「孤立」しているということと同じことではありません。

多人数の職場の中で孤立しているサラリーマンに比べてずっと観賞者や注文主との「つながり」を感じたり、制作物や描く対象との会話、あるいは自分自身との対話が忙しく楽しいのではないでしょうか。
[大阪市の橋下市長が進めようとしている市役所≒職場改悪が進めば市役所≒職場は地獄でしょうね。
でもそういう中でも嬉々として橋下流におもねっていく人はでてくると思います。ナチズムが広がっていくとき、大政翼賛会ができた時がそうでしたように。]
今描いているのは帯がらの見本です。これを注文してくれた方に見てもらって希望を聞いて手直ししていうのだそうです。楽しい贅沢です。
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- 2012/02/24(金) 00:05:22|
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千本通りの上長者屋町通りを東に5,60メートルほどはいったところに「工房 チリントゥ」があります。
夏のころだったか、自転車を走らせていてふと「紅型」の文字を見つけました。ガラス戸を覗くとそこには琉球の柄と琉球の色がありました。こじんまりとしたお店に入ってお話を伺うと「代表の戸谷真子」さんはお留守だということで、作品を見せていただくだけで、再来を告げて帰りました。
その再来がずいぶん遅くなってしまったのですが、先月お邪魔した際に「制作しているところ」を撮らせていただけることになって、今回の撮影ということになりました。
町屋の2階を工房にされて、制作のすべての過程を分業することなくお一人でされています。
全工程をこなす技術の持ち主ということです。
今、知識のない私に懇切にこの染めの特徴を話してくれています。
詳細はHP(http://tirinto.com)をお持ちですのでそちらに譲ります。

「素敵な人たち」を見つけては写真を撮らせていただいてきましたが、作画、作陶などの現場に入らせていただく機会はほとんどありませんでした。
今回ようやくその機会をいただきましたが、やはり照明がないと条件的には厳しいことが分かりました。

そもそも工房の照明は作業の助けになるために設置されているのですから、手元に灯りが向くわけで、決して作者を照らすわけではないのです。
当然ですね。

戸谷さんは沖縄で2年間知念というお師匠さんの下で「修行」積まれ、その後京都の大学で染色を学んだんだそうです。
師匠から学んだ「伝統の技法」の継承をとても強く意識される一方で、絵柄はただ伝統を模倣するのではなくて、ご自分の中にあるモノ、周囲の自然などを大切に新たな創意をこらしていきます。
ですから私が琉球の「絵柄」だと見たのは色遣いや独特の型染めの手法にとらわれて先入見で見ていたということです。

使用しているのは「染料」ではなくて「顔料」です。

乳鉢ですりつぶした絵の具を使います。
(⇔)

ですから毛先の長い筆でさらさらーっと描いていくというのではなくて竹に人毛を植えた毛足の短い筆で繊維に食い込ませていくような描き方をされています。毛も人毛のような弾力と強さが必要なのだそうです。
職人の仕事は「道具」で決まります。
こうした道具も自分でお作りになるのだそうです。そういう基本中の基本から沖縄で修行してきたのです。
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- 2012/02/23(木) 00:13:02|
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