いつものようにギャラリーめぐりをしていると、あるギャラリーでストールの展示販売をされていました。
そのギャラリーではよく若い方たちがイラストの展示をされていたりするのですが、この日は少し違いました。
入るか入るまいか多少躊躇したのですが、「色やデザインを学ばせてもらおう。何でも見てやらまい。」と踏み入りました。
「染めの さきら」さんです。
で、中に入ると社長さんがいろいろお話をしてくださって、そこにある写真パネルから「モデルさんにストールを着せ掛けた新たな写真がほしい。」という話になり、さらにいろいろあって工場の職人さんを撮らせていただく話になりました。(こういうのを文字通り「我田引水」というのでしょうね。)
で、さっそく工場に押しかけて・・・・。

私が突然お邪魔をすると、お仕事を中断してお話をしてくれ、「今日はカメラを持っていますか?」とさっそく工場内を見せていただけることになりました。
わたしは、「いつでもどこでもカメラ持参」をモットーにしていますので早速車からカメラを取り出して・・・・。

シルクスクリーンの手法ということになるんだと思いますが「手捺染」といって多色刷りの場合一版ごとに職人さんが写真のように染料を塗りこめていきます。
この作業相当に体力を使うと思いますが、しかし力任せに刷り込んでいるのではない力加減を感じます。
それだけに体はきついと思います。

小学生のころ児童会の印刷物を毎週のように謄写版で摺ったことを思い出します。
インクを含ませたローラーを押しては引き、そして押す時に紙を左手でタイミングよくめくる。友達とその速さを競い合いました。
一枚の原紙で何枚まできれいに摺れるかとか、蝋原紙に鉄筆で書くのにどんな工夫ができるかなど面白かった記憶があります。
「つぶし」なんて言うのもありましたね。

ここではストールの「捺染」をしていますが、ずっと向こうまで布が続いていて、同じ判で繰り返し捺染していきます。
斜めになった台の下辺部に「見当」が等間隔に続いています。

ある色をずっと向こうまで染め終ると、版は下の写真のように洗浄します。
ノズルから水を勢いよく吹き付けて洗浄します。

その版についた水を丁寧に拭き取っています。

この写真はストールの制作過程を説明するためのリーフレットに使うつもりで撮っているのです。
が、クライアントさんの要求通りの写真を撮るという商業写真と違って…そういう能力もないのですが・・・私が作品にするつもりで自分の「ワクワク」のままに撮った写真のうちから使えそうなものがあれば使っていただくというスタンスです。

ですから、写真を送られた社長さんは今頃戸惑っておられるかもしれません。
- 2015/04/17(金) 00:03:48|
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友禅染にはたくさんの段階があります。
図案描き。下絵描き・・・これは紫ツユクサの「青汁」でします。
その下絵の輪郭に染料がはみ出ないようにする「糸目糊置き」という工程があります。
(⇔)

下絵を白い生地の下に敷いてそれをなぞるように「糊置き」をしていきます。
ケーキ作りの時にクリームをおし出す袋を使いますね。あれと同じ原理で糊を入れた細い筒にさらに細く穴をあけた口金をつけて描いていきます。
手前に作業台からつり下がっている部分には既に糊が置かれています。

(⇔)

下絵をなぞる単純な作業のように見えますが、とてもとてもそんなわけにはいきません。
下絵の線を意識しすぎて、おどおどとなぞっていけば、生きた線を描くことができません。
写真右手に松を描いた作品がありますが、ここでは糊を置いて染まるのを避けた生地のままの色で松の葉などを見事に描いています。そのとがった様子などは糊をおし出す微妙な塩梅で描かれます。ここでは普段はわき役の「糊置き」が主役となっています。こうした表現もできる技なのです。

口金(ノズルといった方がいいでしょうか)には各種あって幅広く糊を置くものから実に繊細な細さのものまでたくさんあります。
まるで筆ですね。

完成品から見れば地味な工程でもその一つ一つがまさに工「芸」です。
職人さんたちは、みなさんその自覚と誇りをお持ちです。
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テーマ:ある日の風景や景色 - ジャンル:写真
- 2013/01/07(月) 00:05:24|
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京都にもたくさんのギャラリーがあります。著名な作家の高額な絵などを展示する、少し足を踏み入れがたいギャラリーもたくさんありますし、また貸しギャラリーもあります。
私が行くのはもっぱら貸しギャラリーです。
今日は河原町四条を少し上がったところにある「maronie」というギャラリーです。
ここの3,4,5階が貸しギャラリーのようです。
ろうけつ染めの展示がありました。といっても和服などに描かれる絵柄ではありません。
(⇔)

初め私は、水彩絵画かと思いました。
多くは向こうむきの人物が描かれています。その人物は皆学生くらいの若者です。
夜遅くに、一人旅行に出る風で歩く女性を見て、その過去、現在、未来を感じてスケッチしたのだそうです。
(⇔)

作者です。
毎日必ず人物のスケッチをするそうです。実によく観察されています。
このフロアに来る前に「3・11」を主題とした3人展を見せていただいていたのですが、そこに陶板などを出展されていたT氏と「デッサンの重要性」を語り合っていたばかりでした。そのT氏が私に「この人はデッサンができてるよ。」 見てやってくれという感じで声をかけてくれました。
(⇔)

T氏には「個展の時には写真を撮ってもらおう」といっていただいて「若者を撮ってあげてください。」とも言われて、・・・。
この絵は京大の交響楽団のメンバーの練習風景。
(⇔)

話を聞いてみると私の徘徊エリアと重なる部分があって、「どこかできっとすれ違ってますよね。」
(⇔)

ご自身はある学校で美術講師をされながらの作家活動だそうです。

とにかく写真でも絵画でも人物を対象としているものには一段と興味を惹かれるのです。
彼の絵にはしぐさの表情が豊かで、単に写生しているのでない情感があります。情感というとウエットな語感がありますが、湿った感じはありません。
(⇔)

私よりずいぶん学生世代に近いわけですから当然と言えば当然ですが、学生世代への親近性がとても感じられます。
生活の一コマへの共感性というのでしょうか。

ご自身のファッションにも「色々意識してるねぇ」・・・すると「こんなポンチョを着てきているのですが。」と絵に前の立ってくれました。

色を多用しない、むしろモノクロの世界だということも今の私には興味深いところです。
ギャラリーのコンクリートの壁にもマッチしたよい作品群でした。
- 2012/12/17(月) 00:04:28|
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「春を演出する」

モデルがポーズを決めている写真というのは、私にはなんとなく落ち着きが悪いのです。無論、意図的な演出も価値がありますし、楽しくもあるのです。そういう写真も色々と撮りたいのです。
その一方で、こういう写真は演出では撮れないなあと思うのです。
母の気持ち、子の気持ちがその姿として出ているようなものは観察しているしかないという風に思われるのです。


- 2012/03/22(木) 00:09:36|
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室内です。写真についての基本的素養がない私にとっていつも難しい課題です。
ストロボを使うと光が固く強くなってしまいますのバウンスさせるのですが、そうすると色かぶりがきつくなります。ことにこうした町屋は天井も壁も色が濃いですから、レフ板に反射させて撮るのがいいのでしょうが、これには助手の手が必要になります。光を柔らげるデフューズは置き忘れて来るし、困った困った。

自然光の取り入れ方が下手なのでしょうね。

人を撮る時に顔かたちの美しさやスタイルの良さ、あるいはファッションセンスの良さなど「撮りたい」と思わせる要素はいろいろあると思うのですが、やはり表情やしぐさ、思いの現れた姿勢や姿態をつかみたいという思いはあります。

写真を撮らせていただくときに被写体となってくれる方が「どうしたらいいですか?」と尋ねてくれるのですが、結局「なにもしないでいいですよ。」ということになってしまう。
私の要求(イメージ)が明確じゃないんですね。
場を設定したり小道具や周囲の人とのやり取りを作りだして、そこに自ずと出てくるものを拾い集めるというのが今のところの私の手法でしょうか。

まあ手法なんて言えるほど自覚的なものではありませんね。ただ周りでうろうろして撮っているというのが正直なところです。
- 2012/03/21(水) 00:05:35|
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