小山という地区はここから少し上流にあります。
私の二人の子供を預かってくれた乳児室が小山にありました。

小山郷の六斎念仏は上御霊社で行われるんだそうです。 神仏習合ですね。
神社にしろお寺にしろその郷村の集会所であり結合の中心だったのでしょう。
京都の「地域」は歴史の中で重層的に形成されてきているんだと思います。それは多分他地方でも同じ事でしょうが、160万都市としては濃厚に残ってる都市かも知れません。
生まれ故郷以外は京都にしか住んだことがないので、よく分かりませんが。

本番は夏。お盆の頃ですが、今から練習に励みます。
笛は「腰かけたままでは音が出せない」と立ち上がりました。
ここなら力いっぱい吹けます。

背景の樹木はまだ枝ばかりですが、寄ってみれば芽が赤味を帯びてきていることが分かります。
冷たい風の中でも春の準備が進んでいます。

- 2022/03/19(土) 00:00:10|
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市の聖と尊敬された空也さんが広めたのが「踊念仏」
鉦や太鼓を打ち鳴らしながら「南無阿弥陀仏」を唱えて踊って歩いた。まるでカーニバルの様だったのではないでしょうか。
激しい音、リズムや舞踏のように体を激しく揺り動かすのは人を熱狂のうちに陶酔させ、一時的にこの世の憂ささえ忘れることができます。

その空也さんの踊念仏が京都の町のあちこちに広がり、受け継がれています。
今では夏のお盆の前後に各所で行われるそうです。京都の観光協会によれば「◇中堂寺六斎念仏(8月9日壬生寺)◇千本六斎念仏(8月14日千本ゑんま堂)◇西方寺六斎念仏(8月16日西方寺)◇小山郷六斎念仏(8月18日上御霊神社・8月22日千菜山光福寺)◇桂六斎念仏(休止中)◇嵯峨野六斎念仏(8月23日阿弥陀寺)◇梅津六斎念仏(8月25日梅宮大社)◇吉祥院六斎念仏(8月25日吉祥院天満宮)◇久世六斎念仏(8月31日蔵王堂光福寺)」があるそうです。

この方は北区の「小山郷」に伝わる六斎念仏に加わっているんだそうです。
今日はお仲間と一緒に練習があるらしく、集まりのあるお寺に行く前の自主トレです。

私が半世紀もこの京都に住んでいながら、ついによそ者のままなのはこうしたものに加わらないからでしょうね。
近所の由緒ある神社の氏子にさえなっていません。
と、そんなことはどうでも良くて・・・・。

祇園祭でも山車の上でこれに似た鉦が叩かれます。が、二廻りくらい大きくて重いのです。ですから山車の梁から吊り下げて、釣った布を握って固定して叩きます。
コンチキチン、シャカシャカチンなどときこえます。
この六斎念仏の「音楽」は、元来譜面もなく聴きづたえて、耳で聞いて覚えてきたのだそうで、今は曲りなりに譜面はあるもののやはり、繰り返し聞いて繰り返し練習して覚えるんだそうです。
その「コンチキチン」をつぶやきながらの演奏です。

私が興味を持って近付くと「あなたもやりませんか。やってくれるのが一番うれしい。」と何度も言われました。
「いや、私はこちらの方で・・。」とカメラを構えてシャッターを切るジェスチャーです。

笛も吹かれます。
鉦と同じように頭の中で「コンチキチン」と同じような節を唱えながら吹くのだそうです。
- 2022/03/18(金) 00:00:05|
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久しぶりの職人さんです。
あでやかな振袖の制作です。
と言っても白黒ではそのあでやかさは分かりませんね。

この会場は実は暗い上にかなり赤っぽい黄色のライトがついています。
ホワイトバランスはケルビン値で2800です。
ということは、今ここで書いている染料の色は、想定とは違って見えているわけです。

そのために、あらかじめ、この部分にはこの色と自然光ないし、問屋さんとの調整の時の灯りの環境で決めた色で描いているのです。
ですから、今見えている色は、頭で修正されているのですね。

染料は現職の染料を「感で混合して作るんだ。」そうです。
問屋さんに指定された色は、混合する染料の比率、環境温度などを、自ら調整してその反物全体を仕上げるられるだけの量をその都度作るのだそうです。
途中で無くなったから同じ色を作るというのはとても難しいことですから、その点抜かりの無いようにしないといけません。

着物は反物を背なかで縫い合わせますし、・・・・振袖などは余計にそうですが・・・・・袖の柄や色合いが体の部分と直接に並びますから、もし少しでも違っていればすぐにわかってしまいます。
染料は周囲の温度や湿度、塗り重ね方、同じ反物でも場所の違いによって乾く速度などで微妙に変化しますから油断ができません。
ですかた、ただ絵がうまければいいというものではないのです。
- 2019/07/25(木) 00:00:06|
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話芸というものも、これはなかなかに奥が深いし難しい。
誰だって「しゃべれる」んだからといったって、だから人を惹きつけてやまない話というものが簡単にできるというものではない。
それは落語然り、演説然り、学校の授業・講義然りです。
「男はつらいよ」の寅さんのタンカ売だって、そうやすやすとマネできるものではなくて、相当の修練が必要です。

柳谷小三治さんの『時そば』を聞くと、いっぱいのしっぽくそばを食べていく過程で、やがてどんぶりの汁が残り少なくなり、汁の底に沈んだ短いものしかない蕎麦数本をすするときに、その汁の残り量や長さというか短さを、すするその音で見事に表現するのです。

この方も相当に勉強されているようでした。

古今亭志ん朝さんは、・・・というか名人と呼ばれる方はどの方もでしょうが・・・・口座の座布団に着くまでに、既に聴衆を落語空間に引き入れていて、最初の一斉の声音でもって、もういまではない、ここではない落語の知己と場所に我々を誘います。
その表情がこれから出てくるだろう人物たちの醸す空気を感じさせて、もはやどこにも、今現在というものも、現実の美濃部 強次という人も存在しないのです。
それでいて、それは見事に美濃部 強次という達人によって古今亭志ん朝が作られ、話が操られているという・・・そういうもののように思います。

写真もそういうものかなあと、ふと考えることがあります。 「ふと」ですが。
それにしても、撮らせていただいて、やはり落語は難しいものだと感じました。
それを逆に言うと「写真というものは芸人にとっては相当酷なものだなあ。」という事です。
私はよく音楽家を撮りますが、演奏の最中にその人の「真顔」というものを画面に捉えることはほとんどありません。
とらえていてもそれと分からないのかもしれませんが。
リハや純然たる練習・レッスンの時を撮ると、その時にはむろん真顔に戻る瞬間があり、その行きつ戻りつが、私にとってはリハ、練習の魅力なんですが。

落語はバカになれなきゃできないがバカにはできない。そういう難しさでしょうか。
- 2018/01/25(木) 00:00:55|
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私は寡聞にして「社会人落語日本一決定戦」なるものの存在を知りませんでした。
アマチュア落語の日本一を決める大家だそうです。
第九回になる今年の大会には167人が参加をしたのだそうです。そしてその栄えある優勝者がこの喜怒屋哀楽という方です。

小学4年生の時に桂枝雀さんの落語を聞いてからずっと落語に興味を持ち小学生の頃にすでに教壇に座って落語をされていたのだそうです。
その後大学では「落研」を結成するなどずっと落語を語る側で親しんでこられた方です。
これが優勝の副賞だそうで、チキンラーメン一年分。
360個だそうです。

私は枝雀さんや米朝さんの落語、あるいは古今亭志ん朝さんや柳谷小三治さんの話を楽しむくらいで、特にこの方面に詳しいという事もないのです。
敢えて言えば上方落語よりも江戸落語の方が、上方漫才よりも東京の漫才の方が好きだという位の事です。

この日は「時うどん」・・・・江戸落語では「時そば」ですね・・・・と大会会長である桂文枝さんの創作落語「宿題」を演じてくれました。

さすがに全国ナンバーワンになった方ですし、長年話をしてきた方ですから、「素人」とは言い条、大変な上手でした。
ただしかし、このときはわたしの意識のチャンネルが天邪鬼チャンネルに同調してしまったのか、話の場面ごとに、あるいは話しぶり身振りの度毎に、枝雀さんや志ん朝さんの話しぶり身振りがくっきりと思い浮かんでしまうという事態でした。

それは自分でも訝しく思えましたし、「素人でもてはやされる喜怒屋哀楽さんに対する嫉妬か?!」と自分を疑いもするほどでした。
そう思いながら、「それにしてもプロの名人、匠という人たちの力量、技の素晴らしさはなんと高みにあることよ。」と思わないではいられませんでした。
それは多分この方の落語が上手だったからこそそういう想念が湧いたのだと思うのです。

例えばコンサートを聞きに行っても、カラヤン、ベルリンフィルのあの演奏の時、ノイマン、チェコフィルのあのレコードの演奏が浮かんできて、敢えて比べて目の前の演奏をくさそうとするような意識でなくて、素直に、ああ、あの演奏はやはりとてもすばらしいんだと再認識することがあるんじゃないでしょうか。
「素人・アマチュア」が人並み外れた研鑽をつんでも、さらにはるかに高い地点に芸を到達させている名人、匠の存在は、やはり、人間の技量の可能性を示して、私たちに一つの希望を与えてくれると思うし、素人・アマチュアの夢、憧れであってくれるのだと思います。
- 2018/01/24(水) 00:00:40|
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