ご夫婦とも義肢装具士の免許をお持ちです。
妻君の方は以前は高齢者の装具を作っておられたのだそうですが、そちらはそちらでやりがいを感じておられてのですが、子供のために作り始めてなお一層その役割の重要さを知って頑張っておられます。

この眼差しが全てを物語っていますね。
でもこの瞬間の目をとらえきれなかった私の未熟さ。
せっかくいいカメラを持っていても・・・・という感じです。 豚に真珠、猫に小判だと言われそうです。

子供用の装具づくりは夫君の方が先輩ですから「教えてもらいながらです。」と。

私が手作り市によく出かけていることはご存知の方も多いと思います。、定年退職から間もなく、とある手作り市で、若い靴職人さんと出会いました。仕事に対して誠実で熱心な研究家でした。
その彼もその頃写真に撮らせてもらい、一回目の個展で展示もさせてもらいました。

その靴職人さんと先日、久方ぶりに手作り市で再会しましたが、その時に小さな靴を手に持っていました。
なんと障害を持つ子のお気に入りの靴だそうでその子が「どんな靴がいい?と訊かれて描いた絵に基づいて作ったモノだそうです。
えっ? 障害者用の、しかも子供の装具を作っているの? 知りませんでした。

その靴職人をこの仕事に「誘い込んだ」のが「ゆめ工房」の益川さんだったという訳です。
これまでなんとなく気にかかっていた「ゆめ工房」がこんなところに出てこようとは。
ということで、これは「今度にしよう」を繰り返している場合じゃない。断固扉を開けるべきだと、一人覚悟を決めてきたわけなのです。
- 2022/01/23(日) 00:00:05|
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少し前から気になっていたのです。
「ゆめ工房」さん。 小児用補装具専門店です。 障害のある子をサポートする器具を制作されているようです。
私は視力に「障害」がありますから眼鏡をかけています。幸か不幸か視力に問題のある人はあまりにも多くて「眼鏡」生産は利潤が出ます。需要も多いですから廉価品から高級品、定番の形からでデザイナーの手になるオシャレなもの、豪華なものなどなど様々なものがあります。
けれどそれ以外の身体の障害(原因は様々で様態も様々ですが)を持つ人をサポートする器具は生産に手間と費用がかかる一方、需要は眼鏡のようなわけにはいきません。 まして「医療」の名がついたり、福祉の名が付いたりすると黒や灰色の機能本位のモノに制限されがちです。

でも先のパラリンピックについての報道でも知られるようになった面がありますが、「私たちもオシャレがしたい」というあまりに当然の要求をようやく実現する動きが現れているようです。
より速く、より高く、より遠くを実現する装具の壁を越えてオシャレな。

義足を付けてもハイヒールを履きたい。赤い靴も履きたい。 友達が履いているようなナイキやアディダスの靴を履きたい。そう言う思いはあまりにも当たり前の要求です。ですが、それが実現されているかというと・・・。
私がもう何年も前に中国に行った時に、町を車いすで行く人の姿をよく見ました。介助のある人もいればない人もいましたが、何か日本で見る情景を違うなと思ったことがあります。
日本で見るときには、どことなく遠慮がちで人の手を借りるときのおずおずとした空気があまり見られないで、家族にかもまれて移動したり食事を楽しんでいる姿がたくさん見られたことです。そして車いすの人たちの服やいす自体がどことなく個性的だたっとという事です。

子供たちは成長に伴って体形も変わるし障害の状態もどんどん変化することがあります。
保育園児くらいから学童期など一年間に大きさの違う靴が二足必要なこともあります。履きかえを考えれば4足でしょうか。
それが傷害を支援する装具であってみれば堅固さが求められた特殊な形をしていますからどうしても高価になりますし、何より要望に応えたモノを作ってくれるところや人が乏しいという「障害」があります。

私は眼鏡をかければこそ戸外を歩くことができ、自動車を運転もし、読書もできればカメラで写真を撮ることもできるわけです。つまり障害を支援する器具があれば、「出来る」ことはどんどん増えるわけです。
ことに子供にとってそれはそのまま成長に繋がります。成長の喜びは生の喜びですし、自己肯定感の形成につながります。
立てれば、歩ければぐんぐんと視界が開けていきます。手にとれるものも増えます。

ゆめ工房では夫君の益川恒夫さんと妻君の由美子さんとが仕事をしています。
しばらく前からこの工房を外から覗くことがあった私は、あることをきっかけにして思い切って「お邪魔します」と戸を開けることにしました。
- 2022/01/22(土) 00:00:02|
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ヴァイオリンは通常四弦ですが、五弦のものもあるのだそうで一番の低音部に弦が足されて音に広がりが出るのだそうです。
最近の音楽環境では他の電子楽器の音量や音の多様性に負けないような楽器への進化が求められるのでしょうね。

こちらでも筐体の中にマイクと増幅器が仕込まれたものを作られていました。
そういう楽器の場合には、替えてt楽器自体の音は抑え気味に作るのだそうです。
「そうしないとハウリングしてしまう。」のだそうです。

こうした白木のうちに幾度も調整し表面をさらに削ったりするのですね。
箱自体に構造的な剛性を作るためにも、この独特の曲線の組み合わせが必要なんでしょうね。 多分。
それとも弓が作る角度の制約をなくすためのものかな。 そこまでは質問しませんでした。

こうした時にふと出てくるのがヴァイオリンをいつくしむような笑顔です。

モノづくりの人に共通している・・・ように思います。

- 2019/10/02(水) 00:00:45|
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先日ご家族4人のユニットで演奏をしていた方。そのお父さんです。
この方はヴァイオリンの制作をされている職人さんです。
京都の宇治に工房をお訪ねしました。

私はこれまで西陣の職人さんに「良かったら自宅の工房においでよ。」とお誘いを受けてもなかなか腰の重い状態でしたが、今度は思い切って訪問することにしました。
こういうところにも何がしかの変化が私にあるのかなと、最近感じています。
いいのか、悪いのかわかりませんが・・・。

もともとコントラバスの制作会社で仕事をされていたのを、数年前に独立されて今日に至っているのだそうで、「基本的な作り方は同じですから。」とのことでした。
なるほど両者は相似形ですもんね。

それにしてもいつも思うのですが、あの妙なる音を作り上げるためによくぞこのような特異な形状を生み出してきたものだなあと。
そして板を、箱状に貼り合わせた筐体がどうしてあのように強く張った弦のテンションに耐えられるかが不思議です。
しかも曲によっては「バリバリと弾く」という感じで弓が踊り弦が悲鳴を上げるのによく壊れないなあと。

「それに、あれでよく弦が緩まないのですねぇ?」
いろいろな質問をさせていただきました。 撮影に来たの?質問に来たの?という感じでした。

勿論、種明かし的に言えば、こうした質問をしながら、制作の苦労や勘所を話していただくと、そこに職人の表情が浮かび上がってくるという「手錬」があります。
が、しかし、とって付けたような質問ではかえって専門家の鼻を白ませてしまいますから、率直なお話をしないといけません。

工房を公開していただけるというのは文字通り有難いことで、こうして撮影の機会をいただけることに感謝です。
- 2019/10/01(火) 00:00:46|
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私が度々通る道なのですが
木屋町通り松原の公算角に見慣れない状景がありました。
閉じていたはずのおうちの入り口が広く開いて何やら展示されているのです。

どなたかが個展でもされているのだろうかと、道の反対側からしばらく観察すると・・・・。
どうもそれは「瓦」を展示しているようなんです。鬼瓦が見えます。

「えっ?! 瓦なの?」
「ええ、岐阜で瓦を作っているんですが、なかなか振るわなくて・・・。」

現在では瓦を葺かない建物が増えていますし、そもそもマンションなどの住む人が増えて戸建て住宅でもないケースが多いわけですから瓦の需要は減少する一方なわけで。
さすがにこんな大きな鬼瓦を一般住宅で使うこともないわけですが、これは寺院への売り込みと、趣味で求める人もいるだろうということで・・・。
和式の庭を作っているお宅では、その庭にこうした鬼瓦を設えるのも一つの手ですからね。

ここの瓦職人さんでは、仕事が順調な方もおられるでしょうが、その産業全体として右肩下がりが続いている事実は否めないわけで・・・。
京都の職人さんでもそうですが、何とか需要を増やそうと様々に工夫はするのですが、それがバラバラな個人の努力になっているのですね。
「それで、販路を開拓したり、販売戦略を練る専門の役割を担う人がいないといけないんじゃないかと。 それで私がその役割を担うことにしたのです。」

それで数人の職人さんの期待を担ってこうして展示販売を始めたのだそうです。
この人自身が瓦制作の職人なのですからなかなか思い切りましたね。

京都には寺社も多いし日本庭園を・・・・坪庭としてでも・・・持つ御宅も少なくないわけですし、そこに可能性はあるでしょう。
でもそこに食い込むためには、既に京都の職人さんが築いているネットワークに食い込んでいかねばなりませんね。それはなかなか難しい挑戦になるでしょう。
京都の要求は高いですしね。

他方、町屋はどんどん減っているし、代わりに立っている民泊では瓦ではない新しい屋根建材が目立ちます。
目につくところには軒丸がわらなどで飾っていますが。
それでストラップの飾りなども工夫しています。
この鬼瓦の制作者は、相当な腕前の方のようですね。 ご高齢の方だそうです。
そういう方もこの人に期待しているのでしょう。 というか、こういう活動にご自身お優れて制作物を提供されることで励まし支援しているのでしょう。

手作り市などにも出して、マーケットリサーチをしてみたらというようなお話もしてみました。
写真にはありませんが、よくできた鍾馗さんも飾られていました。
関心を呼ぶといいですね。
- 2019/04/21(日) 00:00:04|
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