氏の名は「イヌイ ジュン」と言われる。
名刺を二枚いただいた。つまり二つの顔を持つ『男』なのだ。
もう一枚のほうは置くとして、片方には「THE STALIN」と書かれている。
その界隈についてご存じの方は「えっ?!」と、相当な驚きをもたれたことだろう。
私は門外漢だから、「????」でしかなかったけれど。
この写真展のいけたにストは昵懇の間柄らしくて、盛んに冗談を飛ばしておられる。
イヌイジュンという名のドラマーがパンク・ロック界の象徴の一人であったころ、私はそれとはまるで無縁の生活をしていた。
写真家にハービ山口という、私と同い年の方がいるけれど、彼はよく自身の過去を振り返ってこんな話をされている。
「 写真家のハービー・山口氏がよくイギリスでの若いころの経験を語るときがあります。のちに世界的なトップ、パンクロックアーティストになったクラッシュのジョー・ストラマーに地下鉄で遭遇した時に旧知の仲ではなかったけれど撮らせてくれないかと頼んだら即座に「いいよ」となったことがあったというエピソードをたびたび取り上げます。地下鉄の列車を降りるときにジョー・ストラマーが言った「You can click away of whatever you want: That's PUNK」という言葉とともに。 」
これは昨年暮れに私が説ブログに書いた記事。
つまりハービー山口氏がイギリスで疾風怒濤の青年時代を過ごしていたころにパンク・ロックが隆盛を迎えていたわけで、それが日本にも波及してわけだから、私の青年時代に並行してパンクロックの広がりがあったはずなんです。そして、そのど真ん中にこの方はいたんですね。
80年代が中心ですか。(もっとも私の青春期は60年代終わりから70年代ですが)
「人間交差『点』」は不思議な縁で作られるものです。

まだ還暦を迎えたばかりのお年頃ですから、イケタニ氏よりも二回りも若い。
二人のやり取りを成立させているのは何だろう。
「この若造が。」でも「この老害が。」でもないのはこのお二人の懐が深いからだろうし、精神の先鋭さがまさに『生』だからじゃないのかなと思ったりする。

こういう人たちに対してはファインダーを覗いているしかない。
それにしてもこの愛嬌はどうだ。
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- 2023/01/05(木) 00:00:07|
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「記憶はいつか消えてなくなるのでしょうか。私たちの中にある記憶は他者からみることはできませんが、表現によって何らかの形が与えられる時、それは他者にも共有することが可能になります。そのように個別体験が、ある技術や意志によって外部化され、鑑賞体験を通じて他者の記憶の一部になることで、記憶は多くの人に伝播していきます。…以下略」
「私はメモリー展」の印刷物の冒頭の言葉にありました。

写真などは極めて直接的に、このように言える「表現」だと思いますし、絵画その他のさくひっももまたそう言えるのだと思います。
「モナリザ」と称されるレオナルドの絵はレオナルドの体験≒記憶が時間と空間を超えて「共有」され続けています。

私のこの写真に閉じ込められた記憶も、皆さんが見てくれることで、私から皆さんにジャンプして行きました。
そのためにカメラがあり、現代では写真データとその画像変換装置が介在して、記憶の連鎖を作ります。

そしてこの会場に並べられた作品から、作者たちの記憶をひも解いて追体験しようと熱心にご覧になっていたこの人の存在について「共有」してもらえるわけです。

記憶、それはまた情報でもありますが、私たちは、そうして共同の「記憶≒情報」を持つことができます。
それが「コモンセンス」の醸成に一役買うのだと、私は思います。

ここに展示された作品。それはある意味で作品=表現とは言えないかもしれません。
これを描いたり制作した人は、他者に見せるとか評価してもらうとかいうことを度外視しているかもしれないからです。
制作過程が全部的にその方の生、そのものであるということです。
制作者の呼吸であり鼓動が外部化した。生の物質化に他ならないのです。
作ること自体が生命活動であり、生の感覚の租借だということでしょうか。

「作品」からは、あまりに「いじらしい」生を見る気がしました。
そういう感じを呼び起こさせる作品を時間をかけてじっと見入るこの人はきっと「素敵な人」なんだと私は感じました。

この人自身も絵を描かれるんだそうで、つい先ごろこの建物の二階で開かれていた美術展に作品が出されていたとのことでした。
私のカードをお渡しして、写真を撮らせていただきました。

世間の表側には、まるで鍋の上に浮き出したあくのような吐き気を催させる人間が大手を振っていますが、しかし、ちゃんとこういう感性を持った人がいるんだということがうれしいですね。
私の「人を撮る」活動は、そういう人の記憶を多くの人に共有してもらう活動だといってもいいのです。
- 2022/12/26(月) 00:00:01|
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この2週間くらいの間にあちこちで見せていただいた写真展の作品はよいものが多くて楽しかったです。
この写真展でも写真自体の内容がいいなあと思うものや、それとよくマッチした見せ方で勉強になるものがありました。
人物写真でもストレートに撮れているものが素直に良かったです。
そんな写真展会場で、作品を出している方です。

すでに外国を訪ねて撮った写真を国ごとにまとめた写真集を出されています。
そして元来はイラストを描かれているのだとかで、写真と一緒に作品が出されていました。
写真の見せ方も「なんだろコレ」と、この違和感がいいんですよね。

声をかけたときにこの人が言うには、「私を知っていますか?」「あなたは有名な方で私は知っている?!」・・・わたし:「えっ?! ナニ? へっ?!」という感じで話がかみ合いませんでした。
最近聞こえなくなっている私のポンコツ耳がいけないのでしょうし、マスク越しの返事がいけないのでしょう。
話が三次元空間で交わらずに交差しています。

この人のお知り合いが来られたタイミングで辞去しましたが、何か落ち着かない気持ちが残って、再び…。

「前回の個展では『人間交差点』という表題にしたのですが、これではどうも交わらなくて出会った感じがない。改めて写真を撮って「点」を作って残したいんだけど・・・・・。」ということでレンズの前に立っていただきました。

この写真のグループ展はすでに27回目だということで、私たちの京都ファインダークラブとほぼ同じ回数ですね。それだけグループを維持して続けられるということはすごいことだと思います。良いリーダーがおられるのでしょう。
この人は比較的最近に参加しているのだそうです。私たちのグループにはごく少ない年恰好の方です。

京都ファインダークラブの新年会の「お知らせ」が来ました。
来年の写真展にはどういうテーマで臨もうかなあ。

皆さん年賀状はもう投函しましたか?
この写真いい感じでしょう?!
- 2022/12/25(日) 00:00:02|
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つい読書を中断させてしまいました。
これから道を切り開こうとしている青年を見ると、ついこちらも力が入ってしまいます。
音楽家は衣装にもお金がかかりますね。
ドレスを着てプロフィール用の写真も撮らねばなりません。
関西の人なら撮ってあげるんだけどなあ。…「無料で撮っちゃだめですよ。」と自分の内外から声が聞こえますが、たぶん撮っちゃうんでしょうね。

撮った写真を送ってあげるといったら連絡先を出そうとしたんですが・・・。
私のカードを差し上げて・・・それにメールアドレスや電話番号、そしてこのブログのURLが記載されていますから・・・メールをいただくことにしています。そして返信に写真データを添付して。
私がアドレスのアルファベットなどを見てメールしようとすると文字が見えなくて間違いが多くていつまでたっても送信できないから、相手の人にまず送信してもらいます。

これからどこかでおいしいものを食べて、帰りの電車の時刻まで「どこか観光しようかな。」
それにしても寒いですね。そして東海道新幹線が早く完全に元のダイヤに戻るといいですね。

オーディション合格の通知を手にできますように。
- 2022/12/24(土) 00:00:01|
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東海道新幹線が、停電で大幅に遅延した翌日のこと。
鹿児島にさえ雪が降って、各地で大雪の情報が。 TV報道で見るそれは、大変な積雪で各地で混乱が生じていました。あのような積雪では、老人独居者には一段とつらいだろうなあと思いました。
京都も寒かったのです。 風が冷たかったです。 それなのに・・・・鴨川の岸で。

「寒くないですか?」
「はい、寒いです。」
こんな寒い中で読書です。
「どちらから来られたのですか?」
「○○です。(…江戸湾のほど近くですね。)」
「そこなら京都より暖かいでしょうに、なぜわざわざこの季節に京都に?」
お隣の滋賀県に「オーディションを受けに」来られたんだそうです。
それで翌日この京都に。
なるほど。
写真を見ると日差しがあるし、・・・と思われるでしょう。でも風があるんですよ。つ、冷たい風が。

新進の声楽家さんでした。
それで「オーディションを受ける」必要があるわけですね。
芸術家として生きていくのはなかなか大変です。私もクラシックの若い演奏家の写真を幾度か撮ってきましたので、その一端はわかります。
音楽の世界に限らず、芸術・芸能(いわゆる芸能界の芸能じゃなくて)で道を切り開こうとする若者にとって、日本は・・・OECD各国の中で・・・あまり条件のよい国ではないようです。

あ~っ 寒いっ
思わず体が丸くなります。
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- 2022/12/23(金) 00:00:05|
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