「この紋どころが目に入らぬか?!」
ここでいう「紋どころ」とは「家紋」のことで、水戸徳川家の葵の紋だということはいちいち説明する必要もないことでしょう。
最近はあまり「家紋」の出番はないようですが、先日、私の甥が弓道の関係で家紋が必要だというようなことを言っていました。
我が家の父方は「三つ柏」、母方は「三つ鱗」です。皆さんの「家紋」は何ですか。
この方は、手書きで家紋を描かれる、今や大変に少なくなった職人の一人です。

手前のある反物には既に紋がはいっています。
場所が暗いために絞りをあけて撮っています。 そのために被写界深度が浅くて紋がぼけて見えません。
今回の写真は総じて私の技量不足というか注意不足で、実に細やかな技術が結晶した紋を撮ることができていない失敗作です。


紋は何度かいても正確に同じ形にならねばなりません。紋つきの服には五か所紋が入りますが、そのいずれもがまるで同じ型で、文字通り「判で押したように」正確にかかれなければなりません。
今やコンピューターで図案を取り込めばほぼ完ぺきに同じ図案を繰り返し印刷できますから、果たして手描きをする必要があるのかどうか、今後この技が存続するのかどうか、ご自身も問い続けながらの仕事です。

漫画家も、何度かいてもキャラクターの形は正確に同じように描かれます。しかし、何十巻も続くコミックでは、1巻の頃と、4,50巻に達する頃では明らかに絵が異なって来ていることがまま見られます(もっとも主人公が時間とともに成長する場合は当然のことですが)
この方の仕事ではそういうことは許されません。師匠・先代から受け継いだ紋の形は修正・改変されません。そこではある意味で創造性や革新は認められない世界です。

現代美術は「個性」だけが存続理由であるかのような様相さえありますが、ここではその個性は排除されねばなりません。
そういうお仕事です。
テーマ:ある日の風景や景色 - ジャンル:写真
- 2013/11/13(水) 00:01:16|
- 伝統工芸
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はがきありがとう。かつての蒼樹の生業からは想像つきません。ここまでやると、立派な芸術です。コメントもいいですね。蒼樹さんの筆致も素敵ですよ。
- 2013/11/13(水) 13:07:27 |
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- ウラジミ~ル・ビン #-
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多芸多才なあなたに「ここまでやると立派な芸術」などといわれると勘違いして鼻を高々にしてそっくりかえって後ろにひっくり返りそうです。
まあ「好きこそものの上手」になるように頑張っていきたいとは思っています。
またいろいろ御批評ください。
- 2013/11/13(水) 19:50:09 |
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- soujyu2 #-
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