その喫茶店には、永島 慎二のコミックがあった。「漫画家残酷物語」「フーテン」・・・私もこれらだけは数冊持っている。「ガロ」「COM」を思い出す。他にもいく冊も永島の作品をお持ちだった。
私が長暇貧治に出会ったのは高校生のころ。多分、潤が教えてくれたのだと思う。
この人は中学生の頃だったそうだ。

モジリアーニの女性のような人物が登場し、目の瞳を白く抜いて描かれた何やらニヒルな空虚な表情をした青年男女がひどく印象的な絵だった。「フーテン」では労働や勤勉とは縁のない人たちの怠惰で退屈でやるせない生活が新宿を舞台に描かれていた。喫茶店では一杯のコーヒーで夜が明けるまでい続けて時には芸術論や「革命」の大風呂敷を広げる。明けた空の太陽の眩しさに自身の空虚で苦い一日に直面して目まいする若者。

「全共闘」世代には何か共感するところのある心理だったんだろうと思う。
若いころに写真を撮っていたそうで、・・・当然?モノクロフィルム・・・この人が少し探すとモノクロのベタ焼きプリントが出てきた。いや、うっかり「人物写真を撮って楽しんでします。」なんて言うものではない。
自動二輪でのツーリングもまた長年愉しんでおられる。

この店は先代が1970年に開店、それを80年にバトンタッチして今に至る、のだそうだ。

この町で仕事をしていた時には見つけることができていない店だ。こういう巡り合わせもあるのだな。

お店もそうだが、人もそうかもしれない。振り返れば、ふとそこにいたはず人が、ただ前を向いてばかりいたために縁なき人でしかなかったとか。
- 2018/12/22(土) 00:00:37|
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そういえば昔京都に「カルコ」というジャズ屋があったんですけど、この方はご存知かもしれないと
ふと思いました
そしてこの件、
>モジリアーニの女性のような人物が登場し‥
‥新宿を舞台に描かれていた。喫茶店では一杯のコーヒーで夜が明けるまでい続けて‥
その京都のカルコによく行っていた新宿のジャズ屋が重なります。
一杯のコーヒーではありませんでしたが、たまに階段を上がって外に出ると夜が明けていることも‥
バードランドというお店ですが、そこの女店主がモジリアーニ風と言えなくもないように思えて‥‥
- 2018/12/23(日) 22:07:35 |
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- carmenc #-
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京都三条河原町下がるに「六曜社」という喫茶店があります。
そこも60年第70年代には大学の若い教員、大学生、高校生が入り浸り熱く政論・芸術論をぶっていたところです。
今はそういう空気は希薄ですが、テーブルは小さく狭く、それを挟んでたばこの煙をお互いに吹きつけ合ったような距離感が当時の熱を思い起こさせるような気がします。
そういう喫茶店は今はもう少ないですね。カフェですから。
- 2018/12/24(月) 12:58:38 |
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- soujyu2 #-
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