この方のお仕事は帯の縫製。

「もう手縫いをする私らのような者はほとんどおりません。」
ミシンで縫うほうが多いんだそうです。
仕事自体がありません。

ですから普段は既にほとんど縫っておられないのだとか。

私は父親が紳士服の仕立て、母親が婦人服の針子をしていましたから、指抜きをした姿には人一倍親しみを感じます。
このごろは小学校の家庭科でも指抜きをしないまま運針をするようです。
私自身は指抜きがないと縫えません。
針山、目打ち、尺貫法の物差し・・・・亡くなった父親の仕事台に並んでいたものです。
「くけ台」を見るのは何十年ぶりでしょう。母親がよく使っていました。

内側になる布を僅かにずらして縫っていきます。

糸目めの乱れなどみじんもありません。それは、まっすぐにと言うだけでなく、張る力の均一さもです。
「ミシンで縫ったものは時間がたつと上糸と下糸とが微妙にずれてくるんですよ。それが着物の姿に出るんですね。」
そういうことが手仕事にはない。
というより、たとえ時間の経過があっても、そういうことのない仕事をするのが職人の仕事ということだろう。
しかし、そう話す言葉に過ぎた気負いやうぬぼれはみじんも感じられない。実に淡々としている。
テーマ:ある日の写真 - ジャンル:写真
- 2014/03/09(日) 00:01:50|
- 伝統工芸
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お久しぶりです。
職人さんの厳しい表情を写した白黒の画像が素敵です。私見ですが、対照的となる手元の仕事部分などは、色が見たいですね。
- 2014/03/09(日) 10:48:29 |
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- いけの鯉 #-
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コメントありがとうございます。
モノクロかカラーかの選択は、まさにケース・バイ・ケースですね。
色を見ていただくためには厳しい撮影条件の時が少なくないので逃げている面もありますが、私の場合、仕事の紹介というよりは仕事をしている人の表現に重点がありますので、そのための効果で選んでいます。
- 2014/03/10(月) 07:48:06 |
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- soujyu2 #-
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